SRP:妹達共鳴計画U
□Data.09 九月十八日A
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御坂美琴は苦戦していた。
エンデュミオンの警備システムの異常な厳重さを前に、最強の電撃使いも手を焼いていたのだった。
御坂美琴「ったく! 何なのよ、一体!! こんなの普通じゃないって!」
一方通行『オイ! 聞こえるか、超電磁砲』
御坂美琴「え? 一方通行?」
通信機に反応があり、すぐに美琴も応答する。
一方通行『ふざけたバカ共がガードロボに直接干渉してやがった。連中は逃げたみてェだが、ガードロボの暴走には電撃使いの手が加わってやがる。何とかなンねェか?』
御坂美琴「電撃使いがッ?」
一方通行は、接触に成功していた諸悪の根源を美琴に明かした。
二人組だった奴らの内、一人は電撃使い。
ならばこそ、美琴の力で逆に場を鎮めることはできないのか、と。
しかし……。
御坂美琴「悪いけど、それは無理よ! 相手が一台や二台……ううん、私なら何十台クラスでも対応は出来る。でも、さすがに数が多過ぎてキリがないわ!」
一方通行『処置が追い付かねェってわけか……。なら猪突猛進に変わりはねェな。あとどのくれェで爆砕ボルトに到達する?』
御坂美琴「それならもうすぐよ、ちょっと待ってて!」
ガードロボを無視して、とにかく爆砕ボルトを目指す。
一分一秒でも時間が惜しい今、一台一台のガードロボに構っている暇はない。
タイムリミットが過ぎれば、地球そのものが危ういのだから。
初春飾利『御坂さん、爆砕ボルトは次の角を右です』
御坂美琴「了解」
初春の指示に従い、エンデュミオンの地下を駆けていく。
指示通りの通路を回った瞬間、美琴の目に飛び込んできたのは……。
今までの十倍を軽く超える、何千何百台というガードロボの群れだった。
御坂美琴「ーーーッ!!?」
初春飾利『御坂さん? どうしたんですか? 御坂さん!!』
さすがの美琴も、一度にその数を相手にする際の勝率が分からないほど間抜けではなかった。
美琴一人では、この場を乗り越えることはできない。
御坂美琴「……ちっくしょう…ッ…」
科学では説明できない力。
この世界に存在する、もう一つの異能の力。
その名を“魔術”と言った。
その力を行使する“魔術師”が四人、一方通行や御坂美琴と同じようにエンデュミオンの爆砕ボルトへと向かっている。
“人生(妹)”からの頼みだったが、彼らも苦戦を強いられていた。
メアリエ「大丈夫ですか? ししょー」
ステイル「気にするな……、ただのカスリ傷だ……ッ!!」
爆砕ボルトまで到達したと思いきや、まだ難は去ってなどいない。
何百台ものガードロボに加え、女性型の魔術人形まで控えていた始末だ。
ステイル「……く、そ…ッ」
また、それらの山場に到達しているのは一方通行も同じだった。
爆砕ボルトは目と鼻の先。
にもかかわらず、一方通行は到達することが出来ていない。
一方通行「クソッタレがァ! 邪魔くせェ!!」
最強の力を万全に振るえない今、ガードロボの猛攻を受けていたのだ。
爆砕ボルトを点火させるため、まだ力を発揮するわけにもいかない。
門番を蹴散らすために全力を出して、開門した瞬間に力尽きては本末転倒なのだ。
一方通行「ふざけやがって……ッ。一体、どォすりゃ……ッ」
その時、一方通行の背後から声が響く。
09423号「伏せてくださいッ、一方通行!! と、ミサカは指示を送りつつ必殺技発動体勢で身構えます!」
一方通行「ーーーッ!!?」
一方通行は振り返らなかった。
振り返る前に、本能が先走る。
顔を思いっきり下げた拍子に、身体も地に伏せって寝そべる形で倒れ込む。
その瞬間、一方通行の頭上を通過してガードロボを一気に何十台も粉砕する一撃が放たれた。
ズガァァァンッ!!!! という耳に痛い轟音を響かせる一撃を見届けてから、一方通行はゆっくりと振り返った。
一方通行「オマエ、ミサカか!? 何しに来やがった!? つーか……、何だそりゃ!?」
そこにいたのは、一方通行の良く知る妹達であり、検体番号9423号。
だが、その容姿は異なっていた。
試作型レールガン、連射能力向上用誘導体自動装填装置。
美琴の力に及ばないミサカでも、今の強力な一撃を放てた理由はその装置にあった。
09423号「何しに来たのか、ですか……? 決まっていますッ!」
一方通行「……ッ」
09423号「一方通行を、助けに来ました! とミサカは胸を張ってお答えします!」