スマイルプリキュア♪ Final End♪
□初戦の終幕 “最悪の結末(バッドエンド)”に染まる世界!?
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七色ヶ丘市を目前とした場所で、プリキュア勢力とネバーランド勢力の初戦は続いていた。
ハッピー「こ、のぉぉ!!」
ミユネム「ふん」
ハッピーとミユネムの戦いは他と隔絶されることになる。
どういうわけか、人造人間を呼称するミユネムの体はハッピーを中心に軸が回っているらしく、ハッピー以外の者からの干渉を一切遮断していた。
サニーの炎もピースの雷も無効化するミユネムだが、ハッピーの攻撃だけは受け付けている。
加えて、ミユネムが標的としているのはハッピーのみでマーチやビューティなど他のプリキュアには見向きもしない。
ハッピー「(だから、この場所に投下されても動かなかったんだ……ッ。ここにわたしがいないなら、例えプリキュア勢力が相手だったとしても戦う理由がないから! それならッ!)」
ハッピーの攻撃でしか倒せない上に、ハッピー以外を標的としない敵。
ハッピーが立ち向かわずして、誰がミユネムを倒せるだろうか。
ミユネム「俺、キュアハッピー、倒す」
ハッピー「……わたしだって、絶対に負けないッ!!」
ハッピーとミユネムの戦いには手出し出来ない。
それでも、サニーは二人の戦いから目が離せなかった。
サニー「…ハッピー……ッ」
あの殺し合いに巻き込まれていたサニーの記憶に、ミユネムという人造人間の参加者はいなかったはず。
そのことが気になって仕方なかったのだ。
マッチ売り「余所見とは余裕ね? それとも、あっさり死ぬ結末をお望み?」
サニー「ーーーッ!!?」
前方から迫り来るマッチ売りの少女の声に気付き、すぐさま前を見やる。
マッチを擦って現出させた炎をまといながら突っ込んでくるマッチ売りの少女に、指をパチンッと鳴らして炎をまとったサニーが応戦し、マッチ売りの少女の攻撃を受け止める。
サニー「あ、う…ぐッ…!!」
マッチ売り「火は太陽に勝てない、って言ってたよね? その常識を覆してあげる」
サニーたちが修行していたように、マッチ売りの少女だって弱いままではない。
炎使い同士で張り合う中、サニーはハッピーと交戦中のミユネムを指して質問した。
サニー「“あれ”は何やねん……ッ。あんな奴…、あの殺し合いにおらへんかったやろ…」
マッチ売り「…まぁね。あの人造人間は、殺し合いに勝ち残ってから作られた、後付の異世界人だからね」
サニー「勝ち残ってから作られた、って……まさか、あの人造人間を作ったんは……!?」
マッチ売り「察しが良いわね? でも、その答えを知る前に私が沈めてあげるッ。太陽は、もう眠ってしまいなさいッ!!」
ボゥッ!! とマッチ売りの少女が発した炎の火力が倍増し、サニーの体は一瞬にして呑み込まれていった。
弓矢を構えるカイルに向けて、ピースは全力の雷を我武者羅に落としていく。
ピース「プリキュア・ピースサンダーッ!!」
カイル「無駄だよ…。そんな攻撃…ッ」
しかし落とされる雷を引き裂くようにして、カイルに矢が四方八方に放たれた。
または、ワザと自分の立ち位置に離れた場所へと矢を連続で打ち込み、避雷針代わりに雷を誘導してしまう。
カイル「射殺してあげる……これで終わりッ!!」
ピース「ーーーッ!!」
ピースに狙いを定めた矢が、炎と氷の両方をまとって放たれた。
雷を連続して放っても敵わなかったピースは、迫り来る矢への対処法を編み出せない。
そして矢は、ピースの腹部に吸い込まれるように軌道通りの動きを見せたが…………当人のピースにダメージの色はない。
ピース「……あ、れ?」
カイル「チッ……やっぱりダメか……」
カランッ、と音を立てて地面に落ちた矢は、見て分かる通りピースの体に突き刺さることもなかった。
末っ子ブタの突進攻撃を、マーチは軌道を変える目的で脚を振るい、その軌道を変える。
前回、迫り来る末っ子ブタに真正面から対応した際、その脚に大ダメージを負った経験が働きかけていた。
末っ子ブタ「ブッヒヒィ〜♪ いくら“直球勝負”と言っても、学習能力がないわけではなかったブッヒィ〜?」
マーチ「馬鹿にしないで……! あたしだって、勝つためなら努力は惜しまないッ」
直球勝負を志していたマーチにとっても苦肉の手段だったが、末っ子ブタが相手では仕方がない。
瞬間移動にしか見えない超高速移動を真正面から受け止め続ければ、脚が折れ曲がるのも時間の問題だ。
キィィィンッ!!!! と甲高い音が響き渡り、ビューティの剣と王子様の剣が交わっていく。
王子様「あぁ、何とお美しい……。キュアビューティ、君の姿を鮮血に染めてしまうのは勿体ないよ?」
ビューティ「…では、わたしを斬らなければいいだけの話です……ッ」
王子様「それは出来ません。わたくしだってネバーランドの三幹部。君たちプリキュア勢力を叩き斬ることが使命。だからこその提案ですよ? 今からでも悪堕ちして、こちら側に転勤しませんかぁ? 美しき君の願いでしたら、わたくしは大歓迎です♪」
ビューティ「……生憎と、もう二度とあなたたちの側に留まる気はありません。それと、あなたから“美しい”などと言われて喜ぶわたしではないのですッ。その減らず口、凍て付かせて差し上げます!!」
氷の剣を振るい、氷結の息吹をフゥッと吹きかけるビューティだが、その攻撃をヒョイヒョイヒョイと避けていく王子様。
王子様「はぁ〜、残念。非常に勿体ないですが、わたくしがズタズタに斬り裂くとしましょう……。人魚の如き“水の妖精”の姿、もう一度だけでも見ておきたかったです……」
プリキュアの皆が戦う中、キャンディの手当てを受けていたウルフルンたち立ち上がる。
キャンディ「ウルフルン! みんな! まだ動いちゃダメだクルぅ!!」
ウルフルン「だからって、黙って手当てを受け続けてる場合でもねぇだろぉが……ッ」
アカオーニ「俺様たちは、まだ戦えるオニ…」
しかし、残るマジョリーナとジョーカーは冷静だった。
マジョリーナ「二人とも。少し待つだわさ」
ジョーカー「ワタシたちが動くまでもありませんよ。少なくとも、異世界人を相手にしているハッピーとピースの許に駆け付ける必要はないでしょうね」
ウルフルン「あぁん!? 何を言ってやがんだ、テメェら!!」
アカオーニ「キュアピースたちを助けに行かないで、俺様たちは見てるだけオニ!? それでいいのかオニ!!」
マジョリーナ「あたしらは、さっきまでずぅっと戦ってただわさ。それはプリキュアのみんなも知ってるだわさ」
ジョーカー「だからこそ、ワタシたちが手を貸すことなど望まないでしょうね。今は彼女たちに甘えて、疲労が蓄積された体を休めるべき時です…………それに……」
ジョーカー「今のプリキュアたちを突き動かす戦いへの衝動と、ただ迎え撃つだけのネバーランド勢力の戦意。どちらが上回っているかなど、見て確認するまでもないでしょう? んふふ……♪」