3つの恋が実るミライ♪

□06 アスレチック島・前編
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 サンサンと照り付ける太陽の光。

 その陽射しを浴びながら、みゆきたち五人はキャンディも連れて公園に集まっていた。

星空みゆき「今日もお天気、お出掛け日和〜♪」

キャンディ「クルクル〜♪」

 そんな中、みゆきたちの担任の佐々木なみえ先生が公園の前を通りかかった。

佐々木先生「あら、みんなで何処へお出掛け?」

星空みゆき「先生! これから遊園地に行くんです♪」

 みゆきたちの挨拶を受けて、佐々木先生も安堵の声を上げる。

佐々木先生「まぁ! 安心したわ。始業式の前日に遊びに行けるということは、夏休みの宿題も済んだってことよね?」

黄瀬やよい「…………」

星空みゆき「…………」

佐々木先生「もし忘れてきたら、補習授業しようかと思ってたんだけど……取り越し苦労だったわ」

日野あかね「…………」

緑川なお「…………」

佐々木先生「じゃあ、始業式でね」

青木れいか「はい、さようなら」

 れいかがぺこりと頭を下げ、先生は公園の前から歩き去っていく。

 その間、みゆきたちが何かを話すことはなかった。

 そして……。

青木れいか「……あら? みなさん、なぜ震えているのですか?」

 そう……みゆきたちは最も重大な問題を忘れていたのだ。

星空みゆき「………まだなの…」

青木れいか「え?」

黄瀬やよい「終わってないの…」

緑川なお「…夏休みの宿題……」

日野あかね「……終わってへんねん…」

青木れいか「まぁ…」

 本日、夏休み最終日。

 明日から始業式が始まるというにもかかわらず、みゆきたちは夏休みの宿題を片付けていなかったのだ。

 もちろん、れいかだけは既に全ての宿題を終えているのだが……これは言うまでもない事柄だろう。

日野あかね「ウチ…まだ英語、全然やってへん……」

黄瀬やよい「わたしは、数学が…まだ……」

緑川なお「あたしは…歴史が手付かず……」

星空みゆき「わたしなんか全部だよぉ!!!!」

一同「「「ーーー全部ぅッ!!!??」」」

 勇者がいた(当然、褒められた意味ではない)。

 みんなで遊園地に行って遊んでいる場合ではなくなってしまった。

緑川なお「仕方ない…」

日野あかね「帰って宿題やろ…」

星空みゆき「…ガーン……ッ…」

 嘆く暇もありはしない。

 遊園地を諦めて家に戻ろうとする中、ふとあかねとなおは別件の用事も思い出した。

日野あかね「(……ぁ…!!)」

緑川なお「(…しまったッ)」

 時既に遅し。

 あかねのポケットに入れていたアラームが小さな音を立て始め、耳を澄ませて待っていたキャンディがピクリと反応する。

キャンディ「(クル! 合図だクルぅ♪)」

日野あかね「わッ! わーわーッ!!」

緑川なお「き、キャンディ!! ち、ちょっと待ッ」

 みゆきたちに気付かれないよう隠して持っていた小さなサイコロを取り出し、キャンディは無邪気に振るい放つ。

 あかねたちの制止も間に合わず、公園の地面へと転がったサイコロが目を出した瞬間。

 みゆきたちは全員、別次元の世界へと一瞬で飛ばされてしまったのだった。







 時を少し逆上る。

 次なる未来への歯車を回すため、こうがたちはあかねとなおとキャンディに続き、新しく加わったマジョリーナへと相談していた。

星空こうが「単刀直入に訊く。恋仲を進展させられるような発明品はねぇのかよ?」

マジョリーナ「そんなもの、あるわけがないだわさ」

青木がどう「ではシチュエーションです。恋仲へと仕向けられるようなイベントを作り出すアイテムはありませんか?」

マジョリーナ「あたしの発明品はプリキュアを倒すためにあるものばかりだわさ!」

日野あかね「つまり、役に立つアイテムはない、っちゅーわけやな……」

 と言っても、目的の物が見つかれば苦労はしない。

 わざわざプリキュアとバッドエンド王国の目を盗んで集まったというのに、これでは意味がなかった。

 とりあえず、真新しい発明品を何点か持ってきてくれていたが、どれもこれも使えそうにない。

キャンディ「クル? こりは何クル?」

黄瀬のどか「あ、サイコロだね…」

マジョリーナ「あぁ! それに触っちゃダメだわさ!」

 慌てた様子でキャンディたちからサイコロを取り上げるマジョリーナ。

 そして、こうががマジョリーナの手からサイコロを奪い取っていく。

星空こうが「何だぁ? このサイコロ…」

マジョリーナ「あぁ、コラ! あたしの“ゲームニスイコマレ〜ル”に触っちゃ危ないだわさ!」

緑川なお「“ゲームニスイコマレ〜ル”?」

 マジョリーナは、見た目がサイコロな発明品“ゲームニスイコマレ〜ル”の説明をする。

 それを聞き終えた時、がどうの眼鏡がキラリと光った気がした。

青木がどう「……いいですね…それ…」

星空こうが「あん?」

マジョリーナ「へ?」

 こうがからサイコロを受け取ったがどうは、そのサイコロ事態にオリジナルの設定を付け加えて改造していく。

 がどうの頭の中には既にプランが組み上がり、得意の魔法でゲームの準備を進めていく。

青木がどう「マジョリーナのアイテム“ゲームニスイコマレ〜ル”の設定を、僕なりにアレンジ致しました。これを使って、父さんたちのフラグをゲットしましょうッ」

黄瀬のどか「みちにい、具体的にはどうするの?」

青木がどう「そうですね……。では、この“ゲームニスイコマレ〜ル”は一度マジョリーナにお返しします。そして、まずはバッドエンド王国のみなさんをゲームの世界に送り込んでください」

 がどうは、今後の段取りを説明した。

 まず、マジョリーナがウルフルンたちをゲーム世界へと連れていき、こうががサイコロを回収する。

 そのサイコロをキャンディに渡し、あかねたちはみゆきたちを何らかの口実を作って全員を集める。

 あかねに持たせておいたアラームが鳴ったタイミングでキャンディがサイコロを起動させ、プリキュアのみんなもゲームの世界に連れて行く。

 これでプリキュアもバッドエンド組もゲームの世界に連れて行くことが出来るのだ。

青木がどう「あとは、ゲームの世界でお会いした際に僕たちが第三勢力の姿で登場します。あくまでも表面上は敵対している姿勢を見せますので、みなさんも演技をお願い致します」

日野あかね「ウチらもあんたらと敵対してたらええんやな?」

星空こうが「まぁ実際のオレらは、まだ何者なのかも判明してねぇ段階だからな」

 こうして、準備は整っていった。

 あかねたちは、みんなで遊園地に行く、という“口実”を作って全員を集め、がどうの指示通りにゲームの世界に行く手筈だった。

 しかし、宿題を終わらせていなかったことに気付いたため、今回の作戦を中止にしたかったのだが……。



 もはや、全てが“後の祭り”だった……。
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