3つの恋が実るミライ♪
□09 世界の果ての恋模様
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不思議図書館、プリキュアの秘密基地にて。
ふと、あかねがみんなに問いかけた。
日野あかね「なぁなぁ? みんなは夏休み、家族で何処か旅行行ったぁ?」
その質問に対する返答は、やよいが首を横に振ったことから始まり、揃って同じものばかりだった。
星空みゆき「行ってな〜い…」
青木れいか「わたしも行っていません」
緑川なお「うちは家族が多いから、なかなかみんなでは行けないんだよねぇ…」
日野あかね「ウチも店があるから、何処にも行かれへんかった…」
長いようで短い夏休みも終わりを迎え、九月から新学期が始まったプリキュアたち。
しかし、せっかくの夏休みにもかかわらず、家族と一緒に旅行に行くことはなかったようだ。
黄瀬やよい「海外旅行とか、行ってみたいなぁ〜…」
星空みゆき「………ぁ…ッ」
と、そんな時だった。
何かを閃いた様子のみゆきが、みんなの前にドカッと地球儀を用意して説明する。
星空みゆき「ここは“不思議図書館”だよ! 世界中、何処へでも行けるじゃない!」
みゆきの提案に、みんなが歓心の声を上げる。
星空みゆき「わたし、絵本に出てくるようなお城に行ってみたぁい!」
緑川なお「あたしはモンゴルの大草原を走って、それから世界中の美味しい物を食べ歩きたい!」
日野あかね「それええなぁ! テレビでやってたんやけど…台湾って、めっちゃ美味しそうなんがいっぱいあったでぇ?」
青木れいか「わたしは万里の長城を、是非この目で見てみたいですッ」
黄瀬やよい「わたしは…ぜぇったい自由の女神!」
各々の願う行き先はバラバラ。
だが、例え地球の反対側だろうと関係ない。
それが不思議図書館の力だった。
キャンディ「ぜぇんぶ、行っちゃうクルぅ♪」
そして、がどうたちにも連絡が入った。
青木がどう「はぁ…、世界旅行ですか…?」
日野あかね『せやせや。そんなわけで今日一日、そっちには手ぇ貸せそうにないんやけど……』
青木がどう「分かりました。こちらはこちらで動くとします。楽しんできてくださいね」
日野あかね『おおきに。ほな、またな』
がどうは、今回も協力が難しいことを告げてきたあかねに対し、こちらで動く、と返答した。
つまり……。
星空こうが「オレたちも行くのか? 世界旅行」
青木がどう「無論です。あかねさんたちには好きに動いていただきますが、その間で僕たちが待機していなければならない理由はありませんからね」
協力者がいるかいないかの違い。
あかねたちに事情があったとしても、がどうたちは目的のために動き出すのだ。
黄瀬のどか「海外旅行かぁ〜……アメリカの自由の女神、見てみたいなぁ〜♪」
青木がどう「そこに行けるかは分からないけど、もしもアメリカに着いたら眺めていこうか」
星空こうが「あん? ところで、どうやって行く気だ?」
青木がどう「それは愚問だよ、幸牙。僕に対する質問ではなく、この時代のプリキュアに問いかけていることに等しい」
そう言って、がどうは一軒の本屋に立ち寄った。
ここは七色ヶ丘の商店街。
本棚など、探そうと思えばいくらでも存在している。
青木がどう「不思議図書館を使えるのはプリキュアだけじゃないのさ。少なくとも、この時代に僕たちが留まっている限りはね」
そして、バッドエンド王国では。
ウルフルン「あ痛だだだだだだだッ!!!!」
ジョーカー「あ、あああ、アカオーニさんッ!! 力を入れ過ぎですッ!! もう少し緩めてくださいッ!!」
アカオーニ「んん? そうか……ごめんオニ」
夏休み最終日の運動競技の影響が抜けきれず、全身のストレッチを行っていたウルフルンとジョーカー。
基礎体力だけなら誰よりも高かったアカオーニと、応援のみで動くことがなかったマジョリーナだけが苦しみを免れていたのだった。
ウルフルン「畜生……。こりゃ近々、運動に出ていた方が良さそうだな……」
ジョーカー「運動不足の解消でしたら同感ですが、今は動かない方がいいでしょう……。筋肉痛は体を休ませる療法が一番です……」
この様子では、バッドエンド王国も動くに動けないだろう。
状況を把握したマジョリーナが、こっそりと鏡に向けて報告を告げる。
その鏡に映っているのは自分の顔ではなく、がどうの姿だった。
マジョリーナ「今の聞こえただわさ?」
青木がどう『……はい、ハッキリと…。随分と無理をさせてしまったようですね…』
マジョリーナ「隙を見つけて、アカオーニだけでも送るだわさ。でもその場合、あんたたちが世界の何処にいるかを突き止めてから行くだわさ。つまり……」
青木がどう『こちらとの合流も、それなりに遅れてしまうわけですね……。分かりました。その点も考慮致します』
こうがたちが独自に動き始めることも知らず、世界中を旅するプリキュア組。
そのプリキュア組を追い掛ける形で、フラグを立たせるチャンスを伺いつつ追跡する第三勢力。
そして第三勢力の都合で世界に放り出されることになるアカオーニ。
この三様の動きは、また新たな歯車を未来へと回すことになるのだろうか。
フランス、ベルサイユ宮殿。
みゆきの願いとして到着したこの場所は、まさに絵本に出てくるようなお城そのものだった。
各々で遊び回るプリキュアたちを尻目に、こうがたちはアカオーニの到着を待っていた。
星空こうが「まぁ、そう簡単には到着しねぇか……」
黄瀬のどか「フランス…綺麗だねぇ…」
星空こうが「ん? あぁ、そうだな」
記念撮影をして回っているプリキュアたちを見ながら、こうがたちも観光していく。
せっかく来たのだから、彼らだって楽しまなければ損である。
重大な目的を抱えている身とはいえ、まだ彼らも中学生の子供なのだから。
青木がどう「さて、そろそろ次の国に移るころかな? 僕たちも急ごう」
星空こうが「いや、それは構わねぇんだけどよ……。がどう、それ…何だ…?」
青木がどう「マカロンだよ?」
当たり前のように即答された。