3つの恋が実るミライ♪

□10 まるでデートな逃走先?
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 バッドエンド王国。

 ジョーカーは、プリキュアとの今後の戦いのために、と用意していた武器を並べている。

 武器と言っても、それは赤っ鼻や黄色っ鼻、中には今のところ一度も行使していないデカっ鼻などもあった。

ジョーカー「……」

 そして、その手に握られているのはデカっ鼻を超える力を秘めた黒っ鼻。

 しかし、今のところ赤っ鼻でさえ使われる見込みはない。

ジョーカー「このままでは、いけませんねぇ……」

 ピエーロはもういない。

 それはつまり、アカンベェを作り出す赤っ鼻も必要なくなったことを意味しているのだが、どうしても手放す気にはなれない。

 まだジョーカーは、バッドエンドを諦めてはいなかったのだ。

ジョーカー「仲良しごっこはおしまいです。第三勢力だか何だか知りませんが、ワタシたちは目的を定めて動き出さなくては……」

 その目的を定めるため、今のジョーカーが最も欲する物。

 それは……。

ジョーカー「……使用目的で探していたわけではありませんが、背に腹は代えられません…。何としてでも、ミラクルジュエルを見つけねば…」







 そんな一方で、マジョリーナはウルフルンたちの動向を観察していた。

 がどうたちと連絡を取るための手鏡を忍ばせながら、自分の目的を遂行していく。

 今のマジョリーナには、バッドエンドの目的など存在しない。

 任された未来のために、ウルフルンたちを利用してでも協力することに全力を注いでいた。

マジョリーナ「ふ〜む……、どうやらウルフルンが人間界に行くみたいだわさ」

青木がどう『それは喜ばしい。ですが、その目的は?』

マジョリーナ「おそらく、運動不足の解消だわさ」

青木がどう『……なるほど。では、アカオーニとジョーカーは?』

マジョリーナ「アカオーニは動かないだわさ。先日の世界旅行の疲れで、まだグースカ眠ってるだわさ」

 状況を説明していくマジョリーナは、キョロキョロと辺りを見渡していく。

 だが、捜している人物の姿が見当たらない。

マジョリーナ「……? ジョーカーがいないだわさ」

青木がどう『…え? では、もうこちらに?』

マジョリーナ「可能性はあるだわさ。でも、何処に行ったか、までは分からないだわさ」

青木がどう『いえ、十分です。マジョリーナは、そのままアカオーニの動向の監視をお願い致します。ご報告、感謝します』

 そう言って、がどうとの通話は終わった。

 バッドエンド王国に残されたマジョリーナは、いまだに爆睡中のアカオーニを見ながら溜息を吐く。

マジョリーナ「人の気も知らないで、のん気なヤツだわさ……」







 それから数分後の黄瀬家にて。

 珍しく、あかねが一人でやよいの許を訪れていた。

黄瀬やよい「あれ? あかねちゃん、どうしたの?」

日野あかね「にしし♪ いやな……一緒に宿題せぇへんかなぁ〜、って思って」

黄瀬やよい「え? 他のみんなは?」

日野あかね「呼び掛けたんやけど、何か用事があるっぽいねんなぁ」

黄瀬やよい「そうなんだ。うん、いいよ。上がって上がって」

日野あかね「ホンマ!? おおきにぃ♪」

 黄瀬家に上がるあかねは、心の中でガッツポーズを作る。

 これであかねの今回の目的は半分ほど完遂された。

 あとは今日一日、やよいと一緒に過ごすだけである。

日野あかね「(ほな頼むで…なお…)」

 あかねの目的は、今日一日やよいの行動を足止めすること。

 アカオーニだけが動かないと判明している今、やよいには申し訳ないが下手な行動を制限させるしかなかったのだ。







 そして同時刻、キャンディを連れて散歩中のみゆきを、こっそりと監視している二つの影があった。

 こうがとのどかである。

星空こうが「よし…、お袋を見つけたぜ」

青木がどう『こっちも、母さんを見つけられたよ。あとは旦那様の到着を待つだけだ』

黄瀬のどか「でも、こうちゃんのパパは兎も角、みちにいのパパも来るのかなぁ?」

星空こうが「確かに…行動指針が分からねぇんじゃ、望みは薄いかもな」

青木がどう『バッドエンド王国にいないなら望みはあるさ。こっちは父さんの到着を待つから、そっちはそっちで宜しく頼むよ』

星空こうが「あぁ、分かった」

 こうがとのどかの二人は、キャンディを連れているみゆきを尾行する。

 これまでに回してきた未来への歯車に従うならば、みゆきは必ずウルフルンと巡り合うはず。

 この世界は、既にそういう運命に向けて動き始めているのだ。







 その頃、こうがとの連絡を取り終えたがどうは、買い物中のれいかを監視していた。

 もちろん、自分一人ではない。

緑川なお「何か気が引けるなぁ…。れいかのこと、こんな風に尾行するなんて…」

青木がどう「お気持ちは分かりますが、ここはご協力をお願いします。僕たちとしても、不利益な接触は避けたいのです」

緑川なお「うん、分かってる……」

 さすがに、がどう一人きりで目的達成に向かわせるのは困難だったため、なおの同行をお願いしたのだった。

 結果、れいかはデパートにて買い物の用事があるようで、それを二人で尾行することになっていた。

緑川なお「それにしても、本当に来るのかなぁ……ジョーカー」

青木がどう「それは運命に任せるしかありませんね。バッドエンド王国にいない以上、人間界かメルヘンランドのどちらか…。後者の可能性は薄いでしょうし、人間界を訪れると思うのですが………」

 全ては神頼み。

 今はウルフルンとジョーカーの到着を待つのみだった。







 メルヘンランドにて。

 ポップはロイヤルクイーンの前に立っていた。

 第三勢力から告げられた、ロイヤルクイーンの死。

 その原因究明を急いでいたところ、それが真実であることが発覚したのだ。

ポップ「ロイヤルクイーン様……」

 皇帝ピエーロは消え去り、めでたしめでたし。

 本当にそうなのだろうか?

 まだ、この世界に何らかの災厄が訪れるのではないか?

 ポップの胸騒ぎは、いまだに止むことを知らなかった。

ポップ「考えていても仕方がないのでござる…。メルヘンランドにいて分からない事柄があるのならば、拙者も人間界に向かわねば…」

 こうして、ついにポップも人間界へと踏み出すのだが、彼の行動が明らかになるのは……また別のお話である。
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