中二病でも恋がしたい! Cross

□第06話 各話合
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 新世界の四獣。

 中二病の仲間を増やし、一般人を滅ぼして中二病だけの理想郷を作ろうとしている組織。

 その総員数、最低でも一万人以上。

 しかし勇太たちの目的は、あくまでの四天王とその頭。

二階堂啓壱「新世界の四獣は、その証として左耳にピアスをしてる。自分の立ち位置に合わせて、ピアスの数で組み分けしてんだ」

富樫勇太「……ピアスの数…」

 大野燥太の左耳にはピアスが四つ。

 そして大野は、四天王の一人だという話。

二階堂啓壱「四天王の配下として下っ端業務を任されている最下の中二病はピアスが一つ。そいつらを指揮する権限を持つ、最下の連中のリーダー的な立場はピアスが二つだ」

 その流れでいくと、ピアスが多ければ多いほど高い権限を持っているようだ。

二階堂啓壱「そのリーダーたちと四天王を直接結びつけているパイプ役の奴がピアスを三つ。そのパイプ役を通して、新世界の四獣の全てを把握している存在がピアスを四つ。すなわち四天王、ってな」

 つまり、その四つのピアスをしている者が四人おり、その四人が新世界の四獣を指揮している四天王ということになる。

二階堂啓壱「新世界の四獣メンバー、一万人を相手にする必用はない。トップに立ってる四天王を倒して捕まえちまえば、勝手に壊滅する寸法だ」

富樫勇太「そして、中二病が実現する術を手に入れた四天王の頭を取り押さえることができれば、世界は元の姿に戻るかもしれないわけですね……」

二階堂啓壱「正解♪ まぁ、それはあくまで俺の仮説だけどな。まだ何の根拠もない」

富樫勇太「…………中二病の設定、か……」

 ダークフレイムアスターが現実になる。

 中学生の頃の自分なら、どんなに舞い上がっていただろうか。

富樫勇太「……二階堂先生はブラックジャックに憧れてたんですよね?」

二階堂啓壱「…まぁな」

 カップを拭き終え、一度だけ溜息を吐いた二階堂先生はゆっくりと語り始めた。

二階堂啓壱「ガキの頃から医者に憧れててな。ブラックジャックの影響をストレートに受けちまって、それをきっかけに中二病を患った……。どんな難病も治せる医者っつー設定で、通ってた学校で怪我人を見つけては中二病を展開させてたよ。保健室にも連れて行かず、手当てすらもしてやらねぇでさ……」

富樫勇太「…………」

二階堂啓壱「俺が触れれば、そんな怪我なんて一発で治してやるッ、なんて息巻くだけで何も起きやしねぇ。まぁ、当たり前だけどよ。そんでもって、いつの間にか俺は周囲から“人の不幸を楽しんでいる”って噂流されて、心底嫌われちまってたな……」

富樫勇太「……そうだったんですか」

 悪いことを聞いてしまったかな、と内心で勇太は後悔していた。

 しかし、対して二階堂先生は笑みを崩していなかった。

二階堂啓壱「中二病なんてそんなモンさ。黒歴史ってヤツよ。誰だって現実を見直して、中二病から卒業していくのさ」

富樫勇太「……そうですね。でも今ではその力が実現して、結構満足してたりするんじゃないですか? 骨折を治してあげられたり」

二階堂啓壱「まあな。しかもそれだけじゃないぜ? 俺自身の糖尿病だって自分で完治させたし、肺癌だって再発の可能性0%にしちまったもん」

富樫勇太「ーーースゲェッ!!!!」

 二階堂先生、元・喫煙者だった様子。

 相変わらず甘いものだけは止められていないけど……。







 リビングに残されていた六花たちも、勇太たちの話を聞いていた。

 蛇口を締めてから水音がなくなり、台所の話し声が聞こえてきていたのだ。

五月七日くみん「そういえば聞いたことあったよぉ。二階堂先生、昔はヘビースモーカーだったって」

凸守早苗「それで肺癌になったのデスね……」

丹生谷森夏「でも、肺癌も糖尿病も治せちゃうって……現代の医学会が知ったら発狂するわよ……」

小鳥遊六花「………四天王…」

凸守早苗「……? マスター?」

 六花の呟きに、皆が六花へと注目した。

小鳥遊六花「四天王を打ち倒せば、この騒動も終わる……。勇太がダークフレイムマスターとして本当に戦う気なら……」

丹生谷森夏「なら自分も邪王真眼を実現させて富樫くんと一緒に戦う、なんて言う気? 富樫くんはそれが嫌だから、巻き込みたくないから私たちから関わりを断とうとしたのに?」

小鳥遊六花「…あぅ……」

一色誠「それに、四天王の他にも大罪患者って奴らもいるんだろ? 丹生谷も中学生も危ねぇってことなんだろ?」

凸守早苗「もう中学生ではないのデスよ、一般人!」

一色誠「じゃあこれからは普通に凸守って呼んどくぜ? んでもって、結局はさ。俺とくみん先輩が危ないだけじゃなくて、丹生谷や凸守や、小鳥遊さんだって危ないことに変わりはないんだろ……」

五月七日くみん「でも、富樫くんは私たちが危なくなる前に食い止める、って言い切ってたよね……」

小鳥遊六花「…………」

丹生谷森夏「……まったく、背負い込み過ぎなのよ…。富樫くんは…」

 しばらくして、勇太と二階堂先生が台所から帰ってきた。

 そしてようやく、二階堂先生の口から伝えておきたい“全ての中二病に共通して言えること”が話される。
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