スマイルプリキュア♪ Final End♪

□智司の手紙 仲間の力とハッピースマイル!
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 星空みゆきの叔父、星空智司は高速道路で起きた玉突き事故に巻き込まれた。

 左半身は人としての原形を留めないほどグシャグシャになり、胃と片方の肺は破裂していた。

 当然ながら左半身は完全に不随の状態で、残された右半身も自由には動かせない。

 だがその状態でも、余命数時間と宣告された状況でも、智司は震える右手を動かして手紙を残してくれた。

 少しずつしか動かない右手に鞭打って、最期の手紙をみゆきに宛てて残してくれたのだ。

星空みゆき「(ニィニィ……)」

 手紙に綴られた文字は歪んでいたが、それでもハッキリと読むことが出来る。



 みゆき。

 オレはみゆきとの約束は何でも守りたかったし、これからも守る気でいたけど。

 ごめんな。

 オレ、初めてみゆきとの約束を破ることになっちゃったよ。

 一週間前、いつかみゆきと一緒にネバーランドに行く、って約束。

 あれさ、オレが抜け駆けすることになっちゃったんだなぁ、これが。

 色々あって、オレは先にネバーランドに行ってくるよ。

 正直な話、いつ頃に帰って来れるか分からないけど。

 オレはみゆきの言ってた通り、永遠の少年なんだ。

 だからまた、きっと会えるさ。



 正直、手紙の内容はメチャクチャだった。

 意味の分からない内容ばかりで、当時まだ幼かったみゆきに宛てて書いたものだとしても、これはさすがに幼稚過ぎる。

星空智司「(……でも…、ニィニィってこんな人だったんだよね…)」

 それでも、この“智司らしさ”が残る手紙を読むと、みゆきは自然と笑っていた。

 ここには確かに、あの頃の星空智司の言葉が残っているのだ。



 それから、みゆきに覚えていてほしいことがある。

 多分、オレはそこにいないかもしれないから、伝えたいことをここに書き残しておくよ。

 みゆき。

 近い将来、みゆきはたくさんの壁にぶつかったり、どうしようもないことで頭を抱えて悩むことがあると思う。

 オレだって、今までに色んなことがあったんだよ。

 でもオレと違って、その時のみゆきの傍にオレはいないかもしれない。

 でもな、忘れないでほしいんだ。

 その時のみゆきの周りには、きっと何ものにも代えられない仲間がいるはずだ。



星空みゆき「…………ッ」

 おそらく智司は、今後の人生経験などを踏まえての手紙を残している。

 プリキュアのことなど知るはずがないのだから当然だが、智司の手紙は今のみゆきが立っている状況を指して書かれているような気もして。

 みゆきは無意識に、手紙の内容へと引き込まれていった。



 いいか、みゆき。

 失敗したっていいんだ、仲間がいるから。

 落ち込んだっていいんだ、仲間がいるから。

 でも一番かっこ悪いのは、仲間の思いを無視して自分一人で抱えて、塞ぎ込むことだぞ。

 傍にいてくれる仲間がいるなら、一緒になって悩めばいいのさ、落ち込めばいいのさ。

 その方が寂しくないし、お互い励まし合って共に歩んでいけば、絶対に未来は開かれる。



星空みゆき「………あ…」

 手紙を読み進めていって、みゆきは思い出した。

 長いこと忘れていた。

 みゆきは、何がキッカケで“それ”を口にしていたのか。

 何が始まりで“それ”を探していたのか。



 きっと、みゆきにとってのハッピースマイルはそこにあるよ。

 オレは、そういった特別な幸せのことを……。





 “ウルトラハッピー”





 って、呼んでるんだぜ。



星空みゆき「ウルトラ、ハッピー……」

 思い出した。

 みゆきの代名詞でもある“ウルトラハッピー”という言葉は、叔父の星空智司が、教えてくれた言葉だった……。



 みゆきにとってのウルトラハッピーは、何処にあるのかなぁ。

 それを見つけてみようよ。

 探してみてよ。

 きっとそこには、かけがえのない仲間たちがいる。

 みゆきにとっての、最高のウルトラハッピーな未来が待ってるから。

 その時、オレがみゆきの傍にいるのかは分からないけど。

 もしもいなかったとしても、オレはみゆきの幸せをネバーランドから願って、眺めてるからさ。

 だから、いい子でお留守番しててくれよ。

 またね。

 世界で一番愛してる、オレの大事な、たった一人の姪っ子へ……。



 みゆきは泣いた。

 ウルトラハッピーを主張したキッカケを、長いこと忘れていた。

 でも、今こうして思い出した。

 例えみゆきは覚えていなかったとしても、智司はいつでも傍にいてくれていた。

星空みゆき「…ッ……ニィニィ…ッ」

 手紙をギュッと抱きしめて、一番最初にウルトラハッピーを与えてくれた人を想って、みゆきは静かに泣き始めた。
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