3つの恋が実るミライ♪
□09 世界の果ての恋模様
2ページ/4ページ
台湾、九フン。
あかねの願いとして到着したこの場所は、多くの食べ物に囲まれて賑わいを見せていた。
プリキュアたちが食事している一方で、こうがたちも席に着いて食事を始めている。
青木がどう「アカオーニは……まだ到着していませんね……」
黄瀬のどか「はわわぁ! こうちゃん、これ辛〜いッ」
星空こうが「台湾料理だし、そういうモンも多いだろ。よしッ、オレが食ってやるよ」
青木がどう「幸牙は昔から辛い物が好きだよな…。体は壊さないのかい?」
星空こうが「甘い物ばかり摂取してるカズに言われたかねぇよ」
青木がどう「頭脳力の向上に糖分は必要不可欠。僕が甘い物を食べるのは、そのためなんだよ」
黄瀬のどか「(絶対ウソだよね、それ……)」
もちろん、のどかの指摘内容は糖分の効果についてではなく、がどうが甘い物を食べる理由についてである。
その後、モンゴルと中国、そしてアメリカへと渡って来たものの、一向にアカオーニが姿を現すことはなかった。
黄瀬のどか「ふわぁッ! 自由の女神だぁ!」
星空こうが「ノン…、お袋さんと同じような反応してるぜ…?」
自由の女神を前に感動するプリキュアと、別視点にて同じ様子を見せているのどかたち。
そんな彼らに離れて、がどうはマジョリーナへと再度連絡を取った。
青木がどう「え? もう出発した?」
マジョリーナ『とっくに出ていっただわさ。まだそっちと合流してないだわさ?』
青木がどう「え、ええ……まだお見かけしていません」
マジョリーナ『はぁ…こんなことなら、あたしも同行した方が良かっただわさ…』
と言っても、マジョリーナはウルフルンたちの世話に追われていて手が空かないだろう。
とにかく、もう既にアカオーニは世界各地を飛び回り始めている。
ならば到着を待ち続けることも、残り僅かの我慢だと思われた。
青木がどう「ところで、何と言って世界を飛び回る意思を見せたのですか?」
マジョリーナ『んん? 単にプリキュアが世界旅行に出かけてる、って教えてやっただけだわさ』
青木がどう「……そうですか」
がどうは少しだけ笑った。
プリキュアが世界旅行に行っている、と聞いただけでアカオーニは動き出した。
もしかしたら、まだプリキュアを倒すことを考えて動き出したのかもしれない。
でも、あの夏休み最終日の様子を見ていれば、その気は確実に薄れていることは分かり切っていた。
あの日、みんなを代表してウルフルンが呟いた言葉。
ウルフルン『……楽しかったな』
あの言葉が嘘偽りでないのなら、今のアカオーニはどんな気持ちで世界を飛び回っているのだろうか。
青木がどう「この世界、僕たちの願い通りに動き始めている…。きっと、未来に帰れる日も近いのですね…」
がどうにとって、それは何よりの喜びだった。
その後、エジプト、イタリア、イギリス、チリ、などなど。
数多の世界を駆け回るプリキュアと第三勢力たち。
一方で、アカオーニは南アメリカの熱帯雨林、アマゾンに到着していたのだが……。
アカオーニ「…あれ……? ここは何処だオニ…? エジプトって、こんな場所だったオニ?」
アフリカ大陸と南アメリカ大陸。
向かい先の大陸そのものを間違えていた。
アカオーニ「まぁいいオニ。俺様、スフィンクス像が見てみたいオニぃ♪ 何処にいるオニぃ!」
アマゾンに踏み込んでいることにも気付かないアカオーニは、そのままズカズカと密林の中へと突き進んでいった。
それからしばらくして、プリキュアと第三勢力の面々も南アメリカの熱帯雨林、アマゾンに到着していた。
アマゾン川を五人の乗りのボートで渡っていたのだが、動物たちに惹かれるようにして陸に上がっていたのだった。
星空みゆき「はぁ〜♪ 今日は色んなところに行けて楽しかったねぇ!」
キャンディ「面白かったクルぅ♪」
青木れいか「とても貴重な体験が出来ました」
黄瀬やよい「い〜っぱい、写真も撮れたッ」
しかし、いつまでも遊んでいるわけにはいかない。
以前にも実感したが、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうものなのだ。
青木れいか「さて、名残惜しいですが今日はそろそろ帰りましょうか」
黄瀬やよい「それじゃあ、最後にもう一枚♪」
そう言って、やよいがカメラを構えた時だった。
黄瀬やよい「………あ、あれ…?」
カメラのレンズを覗き込むと、映らないはずのものが……否、映らなければならないはずのものが映っていなかった。
黄瀬やよい「……あかねちゃんと、なおちゃんは…?」
星空みゆき「…え?」
青木れいか「あら…?」
キャンディ「クル…?」
一斉に振り返ると、二人の姿は影も形もない。
この場に残っているのは、みゆき、やよい、れいか、キャンディ、の四人だけだった。
星空みゆき「ま、まさか……」
青木れいか「この密林の中で、逸れてしまったのですか……ッ」
黄瀬やよい「うそぉッ」
キャンディ「あかねー! なおー! 何処に行っちゃったクルぅ!!」
呼びかけに答える声はない。
どうやら、完全に二手に別れてしまったようだった。
一方、あかねとなおも事態に気付いていた。
日野あかね「みゆきー! やよいー!」
緑川なお「れいかー! キャンディー!」
呼びかけに答える声はない。
この広いアマゾンの熱帯雨林の中で、みゆきたちと完全に逸れてしまったようだ。
日野あかね「アカン…。ウチがそこらの動物に目がいって、みんなと逸れてしもうたんや…」
緑川なお「あかねのせいじゃないって。あたしが、ずっと食べ物に夢中になってたから……」
そんなことを言っていても仕方がない。
みゆきたちを見つけられなかったとしても、せめて誰か別に人間を見つけなければ助かる見込みもなくなってしまうのだ。
と、そう思っていた矢先だった。
緑川なお「…あ! 誰かいるよ!!」
日野あかね「えッ、ホンマぁ!?」
視線を巡らせてみると、確かに前方には二つの人影が動いているような気がした。
日野あかね「よっしゃ! 誰か見つけたでぇ!」
緑川なお「とにかく助けてもらおうッ」
二人同時に駆け出して行き、前方の人影に迫っていく。
日野あかね「すいませーん」
緑川なお「あのーッ」
星空こうが「あん?」
青木がどう「おや?」
日野あかね「……へ?」
緑川なお「……あれ?」
どうやら、あかねたちは知り合いと合流を果たしたようだ。
合流したかった知り合いとは、大きく異なっていたのは事実だが。