俺がお前に!!
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夕方を過ぎた暗闇をネオンの光が照らし出す頃の街。
人工的な光に包まれる街の一角には、最近、若者に人気の小洒落たレストランがあった。
中でも特に人気の広い個室には、今日も男女が集まっているようだ。
「スズです、花屋をしています」
「ミカでーす、CAやってます」
「マユって言います、本屋さんで働いてますっ」
和気藹々としているこの部屋には、男女各3名ずつがいた。
順番に名前を名乗ってることから想像がつくだろうが、彼らは“合コン”中だったのある。
男性陣にとっては、念願の初合コンであり、当然のごとく全員が張り切っていた。
第一印象をどれだけ良くつけられるか。
それもナチュラルかつ大胆な印象を付けたい、と前日から考えてきたものだ。
「ヒロキでーす、出版社に勤めてまーす」
「ナオでーす、理容師やってまーす」
一見するとチャラそうにも見えるのだが、夢のある、しかも誠実な仕事をしている男性なんだ…!
というギャップ感を出そうという作戦らしい。
だがしかし、この二人とは比べ物にならないくらいに飛び抜けてすごかった男がいた。
その男はふわっと髪をかき、しなやかに両手の指を絡ませて女性陣を見つめる。
「切原赤也24歳、少し前にアパレル会社を立ち上げ、一応そっち関係の仕事をしています。
趣味はギターを弾くことで、休みの日には友人たちと良くライブなんかを開いてます」
極めつけに、彼…切原赤也は、キラン…と効果音が付きそうなくらいの眩しい営業用スマイルを顔に張り付けた。
そんな素晴らしい彼の紹介を見た他の男性陣は、黙り込み、しばらく呆けてしまった。