俺がお前に!!

□7。
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『待って、』



水野は赤也の制服の裾をつかむ。

しかし赤也は振り返ろうとしない。




『私のことも…?

私にも全く興味はありませんか…?』




突然のことで水野の言葉の意図が読めず、赤也は混乱した。







『好きなんです…あなたのことが』








赤也が返事をするのを待てなかった水野は、ぽつりぽつりと話し出した。




『もうずっと…一年以上前から。

…私は、学年首位という立場にプレッシャーを感じていました。

でもあなたに出会えたから…』








――1年生のテスト期間。




ガラガラ、赤也は自習室のドアを開けた。



「あれ、まだ人いんじゃん」



1人の女子生徒が、熱心に…というより一心不乱に勉強をしていた。



「俺、先生に鍵閉めとくように言われたんだけど…お前まだ残んの?」



鍵を人差し指にかけ、くるくると回し、残っていたその生徒に話しかける赤也。



『…はい、もう少し』



参考書や問題集を山積みにしている彼女は暗い声で返事をした。


「うわっ、スゲーくま!!」


女子生徒は眼鏡をかけていたが、それでもはっきりと見てわかるくらい酷いくまを作っていた。


「お前、ちゃんと寝てんのか!?疲労は早死にの元ってことくらい知ってんだろ?」


『えぇ、まぁ…』



歯切れが悪そうに女子生徒は返事をする。


その表情は、知っていてもできないのだ、と物語っていた。



「あ、そうだ!!良いもん持ってんだった!!」



そう言った赤也は、鞄をごそごそと探り、カラフルな袋を出し、可愛らしい包みを取り去る。


そして、ぐい、と女子生徒の口に押し入れた。




『…んむ!』



それからニカーッと屈託のない笑顔を見せて言った。



「ペロペロキャンディー。甘いものって、疲れが取れるらしいぜっ!

な、もっと気ぃ抜けよ」―――――
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