俺がお前に!!
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つまり、彼ののプロフィールや立ち振る舞いは完璧で、非の打ち所がなかった。
だがしかし、問題点は別にあった。
それは、単純明快で、実に初歩的なことだが、男性陣は成人しておらず、まだ3人とも高校生だということだ。
「すご〜いっ」
「その歳で社長っ?」
「ライブ行ってみた〜い」
しかし3人とも高身長であり、紹介のときに社会人だと言い張ったので女性陣は全く気付かずないようだった。
そして当然のことながら、“素晴らしい経歴”を持つ赤也に興味津々である。
内心ハラハラしていた赤也だが、願ってもないこの状況に、そうでしょう、そうでしょう、と先程のように優雅に相づちを打っていた。
男性陣3人とも(特に赤也)が、これはイケるな、と思ったその時。
『…切原くん?』
近くで誰かに自分の名前を呼ばれ、気になって振り返った赤也。
『やっぱり切原くんですよね、田原先生がご立腹でしたよ。
また赤点、取ったんですって?』
どこかで見たことのある女性がいた。
赤也は脳内にある記憶を探り、確かミス立海と仲が良さげな学年首席の…、と名前を思い出そうとする。
しかし、発せられた言葉の内容が内容なだけに、赤也は名前の為にのんびりしていられるわけもなく、顔がひきつる。
そして何とか言い訳を考える。
「先生?」
「赤点?」
「…えっと、切原さんの彼女さん?」
ざわざわ、と全員がどよめく中、赤也は苦し紛れに思いついた言い訳を口にする。
「ち、違いますよ。あはは…何言ってんの、君。あのですね、彼女は僕の部下で…」
『は?あなたこそ何を言っているのです?
私はあなたと同じ立海大付属高等学校の水野優奈ですが』
しかしそんな努力もむなしく、彼女はずばりと言ってしまうのだった。
皆が唖然とする中、涼しげな顔で眼鏡をくい、と直す水野は、今の状況を何もわかっていないようだった。