短編
□辛いなら輪から抜け出せば?
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報われない恋なんてするもんじゃないわよ?
だって悲しいじゃない。
「今日は薬学でリリーと組んだんだ」
バカみたいな小さい繋がりでも、君は嬉しそうに語る。
今日は3回会えた、とか今日は4回笑いかけてくれた、とか。
でも正直ね、それって辛くないかしら?
片思いも限度を超えると惨めにしか思えないのよ。
「自分を好きにならない相手を好きになるなんて、苦しくないの?」
あまりにもあなたが痛々しいから、ついうかっかり言ってしまったの。
傷つける気はなかったのよ。
でもひどく傷ついたような、それでいて恍惚としているような。
そんな矛盾した儚い微笑みを見たときは、言わなきゃよかったって少し後悔したわ。
「苦しくない、とは言えない。」
―――でもどうしようもなく好きなんだ。
「そっか」
本当、バカみたいに純粋ね。
スリザリン生なら、もっと賢く器用に生きればいいのに。
まったくあなたは、何て間抜けなんでしょう。
笑えるほどよ、傑作だわ!
ああ、本当に。
そんな君が、好きでたまらない。
(ユウナには分からないかもな、僕とは違うんだから。)
((わかるわよ、想い続けるだけの気持ち。))
(まぁ、わからない方が幸せなんだ。)
((だって私も、あなたを想い続けているだけなんだから。))
怖いほど美しい、一方通行な恋ね。
私たちは永遠に終わりの来ない、メビウスの輪に迷い込んでしまったみたいよ。