短編

□あなたは今日も
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あなたの姿を思い浮かべると胸が締め付けられるの。

でも、あなたの声は私を癒してくれるの。

あなたの笑顔が見れたなら、私は箒がなくても空高くまで飛んでいけそうなの。



「あなたのことが好きすぎてどうしようもなく好きすぎて、どうにかなりそうなんです。」



この想いを心に溜めておくだけだなんてことできるはずもなく、ボタボタと溢れ出る言葉。

あなたが聞いたらどう思うのでしょう?

きっと私がいることにすら気付かないかもしれない。

例え私の姿に気付いても、あなたの心には、
これっぽっちも私を置く場所なんて残ってない。



わかってる。そんなことわかっているけど。



「…好きなんです、」




秘めているしかないのはずなのに、知らず知らずのうちに言葉は口から漏れていってしまう。

そうなると、もう残りを出さずにはいられないから、

とめどなく膨らんだ想いは、むなしく溢れ続けて。

いつの間にか流れて頬を伝う雫は、どれだけたっても私の心の曇りまでは流してはくれない。

いっそのこと嫌いになってしまえば、こんな想い忘れて無かったことにしてしまえば楽だけど、




「また泣いているのかねMs.ミズノ
・・・来たまえ」




そう言ってあなたがいつも私を甘やかすから、私はあなたを嫌いになるなんて。

忘れて、無かったことにするなんて。

そんなことは到底、出来る訳がないんです。





「…教授、すみ、ません」





どうしてあなたを好きになってしまったんだろう。

どうしてあなたと出会ってしまったんだろう。



―――どうして私じゃダメなんだろう?



嬉しいよ、苦しいよ、優しくしないで、もっと甘やかして。

こんな無意味な葛藤をいつまで続ければいいのだろう。



「寮監が寮生を無視するわけにはいかないだろう」



(…ありがとうございます。)

(感謝されても困る。

我輩は職務をまっとうしているだけなのですからな。)

(ですよね、)




教授、あなたは今日も痛いくらいに残酷ですね。

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