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□011
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■011 灰崎くん





灰崎くんが苦手です。




「おい、苗字ー、お前今からどこ行くんだよ」

「…」

「苗字ーてめえ、無視すんじゃねーよ」

「…」

「名前ちゃーん、聞いてんのか?ぶっ飛ばすぞ」




昼休み。

食堂に向かっているときに運悪く灰崎くんの目に留まってしまい何故かつきまとわれている。




「もううるさい!今から食堂行くの!見ればわかるでしょ!」

「んだよ、聞こえてんなら返事しろ」

「何でニヤニヤしてんの!」




どうやら灰崎くんは嫌がる私を見るのか好きならしい。私はウンザリしてため息をはく。

こんなことになったのも、先週の部活中、桃井ちゃんにちょっかいを出していた灰崎くんを見て


「チャラ男撲滅しろ」


と、ボソッと呟いたのが聞こえてしまったからだ。

標的は桃井ちゃんから私に移り、最近は無駄に私につきまとってくる。



(こんな奴が一軍スタメンとは…)



食堂に行くと、いつもの4人と桃井ちゃんが既に集まっていた。

急いでそちらに向かおうとするが、それを止めるように首に腕が回される。




「ふざけんなよ!お前部活外でもあいつらとベッタリなのかよ」

「みんな同じクラスだから仲いいに決まってるでしょ!それより腕!」

「お前はこっちで俺と食うんだよ」

「はあ!?絶対嫌だ!」




何とか腕からすり抜けてみんなの方へ逃げる。




「あ、名前ちん、やっときたー」

「名前ちゃん遅かったね、何かあったの?」

「も、桃井ちゃああん!!」

「苗字、騒がしいのだよ」

「って…げっ!お前何で灰崎まで連れて来てるんだよ!」

「私だって知らないよ青峰くん!」




ちょうど、桃井ちゃん、青峰くん、緑間くんが座っている向かいの席に赤司くんと紫原くんが座っていた。

私は急いで2人が座っている席の間にしゃがみ込む、灰崎くんから隠れる。




「どうしたのー?名前ちん大丈夫?」

「名前、腕を掴むな。食事が出来ない」

「食事どころじゃないよ!!」




そう言ってる中、灰崎くんが私を追ってやってくる。




「おい苗字てめえ、逃げんな」

「もう怖い!灰崎くんもこっちで食べればいいじゃん!」

「はあ?俺はお前とあっちで食べるんだよ」




(こいつと2人なんて絶対嫌!)



両手で耳を抑えるが、灰崎くんはまだ何か言っている。

赤司くんはウンザリしてその様子を見てため息をはく。

対して、紫原くんや緑間くんは気にもせず食事を続けるが、青峰くんは何か怒鳴っているようだ。




「名前ちゃん!大丈夫?こっちにおいでっ」

「も、桃井ちゃんー!」




と、手を伸ばそうとしたその時。

ガシッと、

襟筋がつかまれる。

見れば灰崎くんが、まるで動物でも持ち上げるかのように私を掴んでいた。




「腹減った、早く行くぞ」

「ちょ、離っ…!」




てゆーか、これいつかの緑間くんのときと同じ展開じゃん!!

やだやだ!私は桃井ちゃんとお昼するのよ!!

首を引っ張る力に対抗して、私は赤司くんの腕に抱きついた。




「あ、赤司くん、助けて…っ」




それを聞き、赤司くんはしょうがないといった感じで、席を立ち上がった。


一瞬のことだった。


赤司くんが箸を持ち、

流れるような動作で、それを灰崎くんの目に突き刺した。

いや、突き刺す寸前で止められた。

な、なんていうか、



(殺気やべえええ!!)





「灰崎、離せ。名前が騒ぐ」




呆気に取られた灰崎くんが思わず私から手を離した。

赤司くんはそのまま灰崎くんから私を奪う。




「ちっ、なんだよ、白けちまったぜ」




そう言い残し灰崎くんは立ち去ってくれた。

それを見てホッとする。まあ、でも放課後また何か言ってくるんだろうけど。




「あ、ありがとう赤司くん」

「名前も悪い。灰崎に過剰に反応し過ぎ」

「名前ちん、早く頼みにいかないと食券買えなくなるよ」

「え?あ、うん!」




今度から灰崎くんが来たら赤司くんの影に隠れよう。

と、思ったのでした。







fin…



(後書き)

ネタバレ…ですよね?

灰崎くんいまいちよく分からないけど、書いてみました。





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