ワンピ

□願いを叶えて
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大きな屋敷の庭の真ん中に一人、雨の降る中お気に入りの黒い傘を持ってその女性は立っていた
いや、現れた。の方が正しいだろう。

庭が見える部屋で酒盛りをしていた家主――四月一日 君尋と百目鬼 静は急に現れた女性に、眼を見開いた



『…あれ、場所を間違ったかな…?』



友達のところに行こうとしてたどり着いた先は、見知らぬ男の子二人の酒盛りしている屋敷の庭だった。

銀色の長い髪を揺らし、思わず首をかしげる
確か、ここに侑子がいると思うのだけれど…
間違ってしまったのだろうか

いや、…確かにここは侑子の屋敷だ
何度か来たことのあるこの屋敷は、見間違えることはない


でも、この屋敷は侑子の気配がしない



「「…………」」

『…あ、のっ』

「「あーっ!!!リハクだーっ!!!!!!」」

「あ、ちょっ、マルにモロッ!雨降ってるから外に出るなッ!濡れるだろ」




唖然としている男の子二人に声をかけようとしたら、ドタドタと激しい足音を立てて現れたのはピンクと水色の見覚えのある可愛らしい女の子達。
元気にリハクの名前を呼び、外に居るリハクに駆け寄ろうとする。のを、四月一日が引き留める。



「あの、貴方は…」

『白蓮 リハク。侑子の友達なんだけど…侑子は、いないみたいだね』



マルとモロを叱っている男の子をよそに、もう一人の男の子が話しかけてきた
取り合えず、敵とか攻撃を仕掛けてくる人間ではないと思うので、侑子の時と同じようにマイペースに屋敷の中に入る。



「白蓮って…もしかしてあの、一年前に行方不明になった!?」

『ん?あ、うん。そうだよー。で、君はもしかして一時噂になってた侑子のバイト君?』



見覚えのある、侑子の服を着た男の子が驚いた顔で言う
そのリアクションを見て、思い出す
一時、妖怪とか人ならざる者の中で有名だった男の子だ。多分。



『で、さ、早速なんだけど、私の願いを叶えてくれないかな?』

「えぇ、勿論」







一つの指輪を渡して言った言葉は


誰も知らない場所に連れて行って下さいな






願いを叶えてたどり着いた先は、広い海にぽつんと浮かぶ小舟の上であった



これから出会うのは、はてさてどんな人なのか




小舟の中で眠るリハクにはわからぬことである







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