桜蘭
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桜蘭高校の校舎内は、大層お金がかかっていた
お金がかかっているのが素人目にも明らかなので、ますます前の学校の玄武学園を思い出させる
あっちも無駄に金がかかっているのだ
でもまぁ、あっちよりはここの方がセンスが良いんだろうなぁ
玄武は一級品でもセンスが感じられない
と、いささか失礼なことを考えながらも理事長室への道を歩く
「芥梨、ここが理事長室だよ」
『うわぁ』
案内された理事長室のドアを見ると、やはり大層金がかかっていて、思わず引いたような声が漏れる
これは失礼
「西門です。編入生の紫桜 芥梨を連れてきました」
祐馬がドアをノックしてそう言うと、中から秘書らしき人が出てきて室内へ案内された
そこで祐馬とはお別れ。寂しいね。
まぁ、明日あたりに教室で会うのだけど
案内された室内では、なかなかにダンディなおっさんと眼鏡の男子生徒が話しをしていた
先客がいたのか…なんかバットタイミング
ダンディなおっさんが理事長の須王 譲だろう。
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秘書さんにソファまで案内されて出された紅茶を飲み、一瞬動きが止まった
『……、…』
この紅茶、うまい。
紅茶を飲みながらほっこりしてると、どこかから目線を感じて眼だけでその目線を探すと、秘書さんとばっちり目が合った
え、なに、凄い笑顔なんだけど
少し不安に思っていたら、以外にも話しかけてくれた。
「味はどうですか?」
『ぁ、凄い美味しいです。…もしよければ入れるときのコツとか聞いても宜しいですか?コーヒーならよく飲むので分かるのですが、紅茶は入れる機会があまりなかったので』
「そう言ってもらえると嬉しいです」
そう言いながら笑う秘書さんに、すっごい癒された
何だこの可愛い人
まだまだ話しが終わらない二人をよそに、秘書さんに紅茶の入れ方を教えてもらう
あぁ、つい最近までいた玄武学園では出来ることのない癒しが今ここにある
秘書さんと話しが合って、ついつい話し込んでしまっていたら理事長と男子生徒に微笑ましい目で見られていた
何これ恥ずかしい
「あ、えっと、すみません」
「いやいや、君があまりにも楽しそうに話すのは久しぶりに見たからねぇー。お友達ができたみたいで私は嬉しいよ♪」
顔を赤らめ恥ずかしそうに謝る秘書さんに、理事長がいうと、秘書さんはもっと顔を赤くする
可愛い。
「あぁ、そうだ。鏡夜くんに紫桜さん、紹介しよう。こちらが鳳 鏡夜くんで、こちらが編入してきた紫桜 芥梨さんだよ。二人とも一年で同じ学年だから仲良くしてね」
理事長に紹介され、鳳君に会釈され、会釈し返す。
なんともまぁ、裏のありそうな笑顔だな
と、失礼なことを考えながらも自分もその裏のありそうな笑顔をしていることは芥梨は知らない。
「クラスは違うが、よろしく」
『えぇ、こちらこそよろしくお願いします』
鳳君と当たり障りのない挨拶をして、鳳君は部屋から出て行く
それから理事長が向かいのソファに座りなおし、学園の事などに付いて話しを進めた
____
「それにしても、まさか君がここに来るとは思わなかったねぇ」
あらかたの説明などを終え、少し世間話をしていたらなぜかしみじみとした顔でそう言われ、首をかしげる
「君ならに朱雀高校に行くと思ったんだ」
『あぁ、それもそうですね』
朱雀高校とは、玄武学園の兄弟校である共学の高校の事である
玄武学園とはちがって、ちゃんとした学校だったなぁ
と、前に朱雀に訪問した時の事を思い出す
ま、あっちは普通の高校だしねー。玄武とは違うのは当たり前だ。
『私は玄武に通っていましたからね。朱雀は出席番号などが男女別なので、混乱を招くと思いまして』
「あ、そうだね。それならここに来た理由も分かる。それなら、制服はどうするんだい?」
納得した理事長に聞かれ、少し思案して首を振る
ぶっちゃけ制服は堅苦しくて嫌いだから、私服が良い
聞いてみたら私服でも大丈夫なので、今日と同じように私服で登校しようと思っている。
「さて、もう帰った方が良いだろう。明日のために体を十分休めときなさい。疲れるだろうからねぇ」
『そうですね。ありがとうございました』
秘書さんにわざわざドアのところまで付き添ってもらい、桜蘭高校を後にした。
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『……。』
校門を出て、振り向いて校舎を見上げた。
相変わらず、でかいなぁ
少しの不安と、少しの興味、後はなんかどうでもいい感じ
そんなどこか不安定な気持ちを抱えて、芥梨は、桜蘭高校に編入した。
ここでもまた、厄介な連中と絡むことになるとは知らずに。
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いみわかんねぇし、全然、鏡夜と絡んでねぇし、秘書さんとしか絡んでねぇし
もう、なんだか、もう…
キャラと絡めるのか?