桜蘭

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ハルヒに着替えをしている間に、なぜかお客さん達を返すのを手伝わされた
鏡夜にあんな素敵な笑顔で言われたら断れない




『そう言えば、ハルヒ君にタオルって渡しましたか?』

「ん?あぁ、今から渡すぞ」

『あぁ、そうですか…え?』

「ハルヒー、タオルだ…………」



多分だけど、渡したのは着替えだけで体をふくものは渡していなかったと思うので、そう聞いたらタオルを持った環に言われて安心して、疑問に思う


多分だけど、確認してないから分かってないけれど、ハルヒ君って


シャラッ



「……」

「あ、」



女の子じゃないのかな?





「………ハルヒ、お前、もしかして、女か?」

「はい、生物学上は、一応」

「あqwせdrftgyhjkl」




カーテンを開けて、少し固まってカーテンを閉めた環に、思わず頭を押さえた
環以外のホスト部のメンツを見てみると、やはり気付いていたようで、双子にいたっては環を馬鹿にしたような顔で見ていた

環、哀れなり



「どうも自分は男とか女の意識が、人よりも低いらしくて」


リボンを結びながらそう淡々と言うハルヒに、環は顔色を変える
あ、やっぱ女の子の格好をすると普通に可愛いな



「あ、でもさっきの先輩、ちょっとカッコよかったですよ?」

「ぁ……」



今、恋に落ちる瞬間を見た気がする


ハルヒの思いがけない発言に顔を真っ赤に染める環に、思わず笑みがこぼれる
いつもは顔を赤くさせる側の環が、顔を赤くさせているのはとても面白い
それに、そんな環に気付かないハルヒも、なかなかに面白い





「「そーいえばさー、どーして芥梨先輩がここに居るの?」」

『っ!』

ほのぼのと二人を見ていたら両腕を同時に掴まれてビックリする。
こんな事をするのは双子しかいないので、無理に振りほどくことはしない
以前、無理に振りほどこうとした時にとてもめんどくさかったから



「あぁ、そう言えば、芥梨の事もあったな」

『そうですね。私はなぜ、ここに連れてこられたのでしょうか?』


「前々から、お前の事はホスト部に誘っていただろう?」

『えぇ、迷惑にも誘われていましたね』



実は私は編入してから一週間もたたずに環に目をつけられ、それからずっとホスト部に誘われていたりする
でも、今までその誘いを全て断ってきていた
理由は、面倒なのと仕事があるからだ


高校を卒業したらすぐに、今は開いている紫桜家の当主になることを約束されており、そのためにも今のうちから仕事に手を出して慣れておかなければならないから、部活に入っている暇なんて無いので、今までの誘いを断っていた

でも、今更鏡夜がまたこの話題を出したと言うのは、どうして?

先を促す様に鏡夜を見れば、実ににくったらしい笑顔で続けた


「実はね、君をホスト部に入れてもらえるように君の上司に掛け合ったんだ」

『……は?』

「それで、清く了解を得たよ」

『……………え?』

「芥梨?」

「「芥梨せんぱーい?」」

「カイちゃん、だいじょーぶ?」



鏡夜の言葉に思わず、固まった
多分、私の顔は引きつっているだろう



私の上司とはつまり、白蓮家の事である
そして、白蓮家は今現在で仕事ができるのは三人

現当主の利珀、次期当主候補の昴、そして、誰もが逆らいたくない帝様である
鏡夜であっても、当主の利珀様と連絡を取ることはできない
昴には、ホスト部には入りたくないと言っているので、私の主張を得て断るだろう
最後に残るのは、何様俺様帝様である
帝なら絶対に了解する。
面白そうだから、って言うくだらない理由で



『一応、確認のために聞いておきたいのですが…どなたに了解を?』

「確か…白蓮帝、と言ったかな?」

『ぁぁ…よりによって、帝って……連絡を取っても?』

「勿論」



キラキラとした笑顔を向ける鏡夜をよそ眼に、携帯を取り出して帝に電話をかけると、ワンコールで出た
コイツ、私が電話かけてくると分かっていやがったな



“芥梨か。…どうした?”

『どうした?ですか…今一番貴方が分かっていると思うのですが』



少しばかり殺気を含んだ声質で言うと、声を殺した笑い声が電話の向こうから聞こえてきた
笑いが隠せていないぞ


『笑いが隠せていないのですが…』

“クックック、悪い。…噂のホスト部だろう?俺がお前の代わりに仕事してやるから、お前は存分にそのホスト部とやらに専念しろ。あ、コレ命令ってことにしとくから。昴と当主にも伝えとくから”

『は?どういういっ…(ブツッ、ツーツー)……はぁ』



帝はそう履き捨てて電話を切った。


あんのヤロウ



思わず握り締めた携帯がミシッと音を立てたので、我に帰る



「で。どうだったかな?」

『……分かり、ました。帝に命令と言われてしまったら従うしかないので』



顔に苛立ちの表情を見せないように、頑張りながら、魔お…鏡夜に向かって言う。

それはもう、今までにないぐらいの無表情だった。と、その後双子が語っていた。







日常→日常



(ま、ハルヒも芥梨がいるから心強くなるだろ)(そうですね。一応同じ女なので)((((…え?))))(あれ?ハルヒは私が女だと気付いてたんですか?)(まぁ、多分でしたけど…)

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