桜蘭

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『あれ?ハルヒ君は衣装着ないんですか?』


接客を終えて休憩をしていたら、接客中のハルヒが制服を着ていたので隣に立っていた鏡夜に聞く


「ハルヒが断ったんだ。ま、環とペアの女性用だったしな」

『あぁ、そう言う事ですか。私のは結構普通なんですけどね』


ホスト部で男のふりをしているハルヒに、女ものの衣装を着せようだなんて、やっぱり環は馬鹿なのか
少しというか可なり呆れる


『あ、鏡夜さん、指名って入ってますか?』

「芥梨の指名は今のところ無いな」

『そうですか』


正直うれしいです。
だってさ!女の子の相手なんてそんなしたこと無かったからさ、これでいいのかな?って悩んじゃうことがあるんですよ!男相手ならやったことあるけど!
まぁ、自分も女の子に分類されるので?自分が女として、されて嬉しい事を出来うる限りしてるんですけどね!
でもやっぱり、悩むことが多いんですよね!
数少ない女友達からアドバイスとかも聞いてるけどさ!
やっぱ女心わかんなくなっちゃうんだよね!

…あれ、これ、無限ループじゃね?


「接客は嫌なのか?」

『へ?』

「ニヤついてる」


あらま
ニヤついていたという口をいつもの顔に戻す。
悪いことをしてしまったような。ま、客には分からないし良いだろう。
取り合えず、鏡夜は頬を抓らないでくれなかね
女生徒の目線が痛いんだよ





そんなこんなで、ダンスパーティーとやらのプラニングなう
あの後どうなったかって?
笑顔で鏡夜の手を払いましたよ。生憎、私はノリ体質じゃないんでね!いくら利益なんチャラと言われてもノリはしないんですよ。

とか、言っている間にプラニングが進んでいく
ぶっちゃけ、私って必要無いと思うんだよねー。今やってる仕事だってさ、鏡夜ができるんだし。というか面倒なんだよ←
ほら、キングであり部長である環もあっちでカップ麺食べてるし


「殿―、そこで庶民ラーメン食べてないでプラニング手伝ってよ―」

「ハルヒが春日崎姫に気にいられたのが、そんなに気にいらんのかねぇ」


おっと、ここで不思議ワードが出てきたぞ…春日崎姫?お客さんかな?
まいったな…接客中はどうも周りの声が聞こえないから、どういった状態になっているのかがいまいち理解できてないんだよねー


「彼女の病気は今に始まったことじゃないだろ」

「病気?」

「さすらいの男巡り病」

「つまり、男とっかえひっかえ病ネ」


私が春日崎さんとやらの事と、周りの声が聞こえないことを考えていたら、どんどん話が進んで行ってしまった
取り合えず今の状況を説明するならば、環が叫んでる


「もう我慢の限界だ!ハルヒ、そして芥梨!ちゃんと女の格好をしろ!」

「…はぁ?」

『…は?』


いや無理だから
という心の声は悲しくも届かず、環はひたすらに話しだした
面倒だなぁ、もう


「女でありながら、何が悲しくて女にモテモテにならなくてはいかんのだ!?はっきり言って、お前達が女だとしているのは部員だけだぞ!」

「体育は選択制で取ってないし」

「出席番号も男女混合なのでバレてないし」

「お父さんは、お父さんはなぁ…この頃のお前達が見たいんだよぉぉぉ」


そう言ってバーンと出されたのは、引き伸ばされたハルヒの学生書の写真と、私の中1の時の写真だった。


「人の写真を勝手に引き伸ばさないでくださいよ!」

『ずいぶんと懐かしい写真を引っ張りだしてきましたね』


怒るハルヒと、なつかしむ私。
ずいぶんと対極的である


「見れば見るほど不思議だよねぇ、ナンでこれが、アレになっちゃうわけ?」

「入学前日、近所の子に髪の毛にガムをひっ付けられて、面倒だから、切っちゃったんです。俺としては男に見られても別にどうでもいいし」


今どきガムを髪の毛にひっつける子も子だけど、それをめんどくさがって適当に切ったハルヒもハルヒだよね


「女の子が俺なんていけませーん!おかーさーん!ハルヒが汚い言葉使うよぉ」

『お母さんって誰でしょう?』

「俺かな?ポジション的に」


じゃ、私はお姉ちゃんかね
あ、いや、お兄ちゃん?どうでもいっか


「だって、卒業まで雑用係よりホストになって指名取るほうが借金返せそうだし」

『確かにそうですよね』


何がいけないのか?といった風なハルヒの言葉に頷く。
三年間やるか、頑張れば二年ぐらいで終わらせられるかって言ったら、ホストの方を選ぶよね。



「そう言えば、芥梨先輩ってこんな写真あったんだネ」


写真を指さしながら光がなぜか感心したように言う
ものすごく貶された気がしますね


『これは中学の時の女装コンの時のですね。先輩に無理矢理コンテストに出場させられたんですよね』


そう、無理矢理、だ
高校の生徒会長に笑顔で脅され、四神祭という行事の時に出場した
ほんっとうにあの時は疲れたな…


「え、女装コン?」

「芥梨先輩って中学の時から男装してたの?」

『ん?あぁ、はい。そうですよ。玄武学園という男子校に通っていました』


私がそう言うと、部員がいつものオ―バ―なリアクションで驚きだした
吃驚した
ほとんどが男子高ってことに驚いていたけど、鏡夜はどこか違く、玄武学園という事に驚いているようだ
というか、ここに来て一年半もたってるのに知らなかったって…


「芥梨先輩はどうしてその時から?」

『えっと…紫桜家は代々補佐と護衛という役目で白蓮家に仕えてきているんですよ、私は次期当主候補に仕えていまして、幼少期などは特に狙われるという事でその護衛という役目で玄武に入っていたんですよ』


ちょっと、ややこしいですね

そう言って笑うと、次は皆黙りだした
うーん、どういう意味なのだろうか…


「「ネ―、それって、四六時中男と居るってこと?」」

『は?あぁ、まぁ、そうですね』

「確か、玄武学園は同性愛が横行していなかったか?」

『え?そうですけど』

「よく無事だったね〜…」

『え?無事?…』


「「よく襲われなかったネってこと」」



ハニー先輩の言葉に首を傾げてると双子が呆れた顔をしながら肩を組んでくる
重いな

襲われなかった。か…
確かに、玄武学園基四神高という兄弟高の青龍、白虎は男同士の同性愛が普通で、しかも玄武は全寮制だから強姦とかあったりなかったり…


『あぁ…襲われましたよ。まぁ、風紀のおかげで無事でしたし、何より、私がそう仕向けたので襲われたといった感じではなかったんですけどね。』


そう、実は何回か襲われ済みだったりする
まぁ、それも全部あぶり出しのおとり捜査的なノリだったから、襲われたというのも変だけど
帝王基帝様の言い付けでの命令だったからどうにも拒否できなかったんだよねー


「なんて言うか…芥梨先輩もなかなか凄い人ですね」

『普通じゃなくてごめんなさいね?』


何処か残念そうな顔をするハルヒの頭にポンっと手を置きながら言うと、苦笑いをこぼした
ま、私もハルヒも、ここにいる時点で普通ではないと思うけど


「ところでハルヒー、社交ダンス経験は?パーティーじゃ必須だぞ」

「え」


顔をゆがめたハルヒの後ろで、環の目が光ったのが遠目でも分かった
なんか、凄いハルヒに同情するわ


「一週間で見事ワルツをマスターし、来週のパーティーで披露できなければ、女の子であることを暴露して、雑用係に格下げだっ!」

「え、えー!」



ビシッとハルヒを指さし、ハルヒが叫ぶ
うん、ほんと、凄いハルヒに同情する
さて、今日はもう帰ろうかな
作り上げた書類を鏡夜に渡して帰る準備をする
家でも仕事が待っているのだ。家の仕事を帝に援助してもらったが、やはり全てを上司にやらせるのは窮屈なので、少しは手を出していたりする


「あれー?カイちゃん帰るの―?」

『えぇ、お仕事も終わりましたし』

「そっかー、じゃ、気おつけてね―バイバーイ」

『はい。では、さようなら、ハニー先輩にモリ先輩と、鏡夜さんも』

「あぁ、気おつけろよ」


前の方に集まってギャーギャー騒いでる双子と環と放心してるハルヒは放っておいて、帰るために部室を後にした

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