銀魂夢小説.

□歪ンダ未来.
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7月初旬。ここかぶき町は梅雨も開け、カラッとした暑さが町を覆っていた。

だがその日は、昨日とはまるで違いじめじめとしていた。
嫌な天気だな。
そう思いながら、万事屋従業員…というよりは世話係の志村新八は、仕事場である万事屋に向かっていた。
まだ日は上ったばかりだが、今日は朝早くから仕事が入っているのだ。
だが、こんな時間ということもあり、神楽と銀時が起きていないのは当たり前だろう。
まだ時間に余裕があったので、二人を起こさないように静かに万事屋の扉を開き、中へ入った。すると、
「…あれ?」
中から、何やら物音が聞こえてくる。
トイレかな、と思っていたが、どうやら違うようだ。ゴソゴソと、居間から聞こえる。
時刻はまだ6時前。余程のことが無い限り、こんな時間に起きているなんてことはまず無い。尤も、余程のことがあっても起きないではないか。そんな事は新八が一番よく知っている。
なら、誰だ。
定春、という考えもあるが、定春は玄関入ってすぐの所で寝ていた。
まさか……
「泥棒…?」
生唾をゴクリと呑み、おいてあった箒を掴んで恐る恐る中を覗いてみる。





「銀さん…?」
そこにいたのは、銀時だった。
朝食の用意をしている。
「おう、はよーさん。」
そう良いながらせっせと手を動かしていた。
かすかに笑った顔に、寂しそうな色が見えたのは気のせいだろうか。
「おはようございます。…こんな早くからどうしたんですか?今日のご飯当番は僕ですよ?」
驚きながら、思っていた事を聞いた。
すると銀時は、
「まあ、たまにはな。」
と、相手を見ずに笑った。
……まただ。
やはり、さっきのは気のせいではなかった。どうしてそんな悲しそうに笑うんだろう。
じめじめとした空気の中、嫌な予感がしてきた。





暫くすると、神楽を起こし三人で朝食を採った。その間も新八は銀時が気になっていた。
一言も喋らずに、テレビすら点けようとしない。相手の様子を伺うため、声を掛けてみた。
「銀さん、今日はお目覚めテレビ観ないんですか?」
すると銀時はハッとしたように、
「ああ…言うの忘れてた。お前等。今日はテレビ禁止な。絶対点けんなよ?」と、珍しく真剣な顔で言い、リモコンの電池を抜いた。
それを見た神楽が、銀時に何か言おうとしていたが、それを遮る様に
「そろそろ行くぞ。早く用意しろよ。」と言い、部屋から出て行った。
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