銀魂夢小説.

□理由ナンテ.
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翌日。この季節はまだまだ冷んやりとした空気が頬に当たる。
その日、朝の巡廻の時間になっても、沖田が外に出てくる気配はなかった。
そこで、悴んだ手を擦りながら土方が様子を見に沖田の部屋まで行き、部屋の外から相手を呼んでみる。
だが、全く返事が無い。
「総悟?」
声を掛けながら部屋の中に入ってみると、沖田は毛布にくるまって眠っていた。
「総悟。起きろ。」
布団を引き剥がすと、沖田は小さくふるえ、頬を真っ赤に染め短い呼吸を繰り返していた。
「…おい、大丈夫か?」
様子が変だと思い相手を揺すってみると、服越しだというのにも関わらず相手の体温が高くなっているということがわかった。
そこで土方は、パシリでもある山崎を呼び、巡廻を任せた。
何をするのかと思うと、沖田の看病をし始めた。いつもは憎まれ口を叩き合っているものの、こういう時はお互い様なのだろう。まあ…沖田はどうなのか分からないが、そうであることを願う。
土方があれやこれやと部屋をウロウロしていると、部屋の隅にびしょ濡れになった隊服が置いてあった。
不思議に思い乍も深入りするのも良く無いと思ったので、洗濯する様に他の隊士に言いつけた。
一通り沖田の身の回りの事を済ませると、ぐるりと部屋を見回す。
こんな季節だ。少しでも部屋が温まるように、襖と障子は閉めきり、ストーブを炊いておいた。30分に一度、空気の入れ替えをする位で大丈夫だろう。氷枕、額にタオル、そして毛布を掛けている。
水分補給を、と思うのだが無理矢理起こすわけにも行かない。
起きるまで様子を見て居よう、そう思って座ろうとしたその時、山崎が土方を呼んだ。
「副長、沖田隊長に客人です。」
そう言われ、ふと山崎の後ろを見ると申し訳なさそうな顔をした神楽が立っていた。

「お前は万事屋ンとこの…」
珍しい客に土方は驚く。
それと同時に、一目見るだけでワケありだという事が分かった。
「総悟なら今寝てるが…起きる迄待っとくってんなら、入れよ。」
そう言うと、視線を下げたまま、神楽は沖田の部屋へ入った。
それを見ると、土方は山崎に目で合図し2人して部屋を離れた。
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