銀魂夢小説.

□歪ンダ未来.
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その日の仕事は江戸の街中にある、大きなビルの窓掃除だった。
途方に暮れそうなほどの窓がある。
4時から重要な会議があるのでそれ迄に済ませて欲しいとのことで、新八は、だからこんな早くから始めるんだなと納得した。
まだ時刻は6時半を過ぎた頃。
窓掃除を依頼してきたこのビルの会社の社長さんに、窓掃除の説明などを聞く。その時にふと隣を見てみると、銀時、神楽2人とも寝起きのせいかぼーっとしている。いつもこの調子なので、大丈夫かな、と仕事を依頼される度に心配するのも嫌になってくるのだった。


一通り説明を聞き終わり、道具を貰うと長々と話していた社長さんはビルの中に姿を消した。
それを見ると、新八は小さく溜息を吐いて2人と向き合う。
「2人とも、話し聞いてました?」
と聞くと、
「話もなにも、窓拭けばいいネ。」
と、明らかに聞いていなかった事が一言で分かった。
なので新八はもう一度、さっき聞いた事を簡潔に述べた。
「窓掃除は4時迄に終わらせてほしいとの事です。もし間に合わないなら、37階の窓だけでも綺麗にする。あと、1時から、そこのテレビ…」
そう言ってビルに取り付けられた、宣伝用のテレビを指差す。今は画面は真っ暗だ。
「ニュースが流れるそうです。それから30分おきに宣伝用のCMが。なので、テレビが点いている時間はテレビ掃除は控えてほしいそうです。…分かりましたか?」
ここ迄言って2人を見ると、神楽は分かった様だが、銀時の様子がおかしいことに気付く。
銀さん?、と声を掛けると、相手はハッとし、何でもねェ。と苦笑を浮かべるだけだった。


掃除は、三手に別れてする事になった。4時まであと9時間もあるが、72階迄あるこのビル。それだけの窓を3人でできるか、少し不安なところもあるが、まあ、大丈夫だろう。
皆黙々と手を動かす。
時間が着々と進む中、時間の流れと比例するように、銀時の焦りはつのっていくのだった。
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