鼓動(ロー)

□シャイな彼女
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ハートの海賊団はとある春島の酒場にいる。

「キャプテンよく飲むよね〜」
ベポが感心したように言う。

「飲むくらいしかやることねぇだろ。おっさん、もっと酒くれ」

「はいよ。ちょっと待ってくれ。名無しさんちゃん、こっち手伝ってくれ〜」
愛想のよさそうなおじさんが奥にいる店員を呼ぶ。

「は、はい!今行きます!」

やってきたのは、18くらいの女、名無しさん.


「お、かわいいね、お嬢ちゃん!お酌してくれよ。」
シャチが名無しさんを呼ぶ。

「え・・・あ・・・」

「兄ちゃん、それは勘弁してやってくれ。」

「いいじゃないか、おっさん!」
ペンギンも加勢する。

「あ、じゃぁ、はい。今行きます。」
名無しさんはおずおずとペンギンとシャチのいるほうへ行く。

「はぁ・・・・」
大きなため息をつく店主をローは横目で見ていた。


「嬢ちゃん名前は?」

「ぇ・・・あ・・・・名無しさん・・です」

「年は?」

「20・・・」

「20なの?もちょっと幼く見えたわ!」

「ご・・・ごめんなさい!!」

「名無しさんが謝ることねぇ!面白い子だな!」

「あ、ぁりがとうございます!!」

ペンギンとシャチに絡まれている名無しさんを店主は心配そうに見ている。

「どうしたんだ?そんなに心配なのか?あんたの娘か?」
ローはニヤニヤしながら聞いてみる。

「いや、ただのバイトの子なんだけど・・・・・!!!!」

ッバコーーーン!!!

「あぁ・・・」
「ん!?」
ため息交じりに名無しさんのほうへ目をやる店主と、驚きながら目をやるロー。

そこには名無しさんが倒れている。

頬は赤く染まり、うっすら汗をかき、呼吸が荒い。

「お前ら何をした!?」
ローがシャチとペンギンに詰め寄る。

「何もしてないです!」
「いや、本当に!」

「何もしてねぇ訳ないだろ!」
いつもは人がどうなろうと気にならない、死の外科医、トラファルガー・ロー。
だが、なぜか今は無性に名無しさんが心配になる。

「いや、兄ちゃん心配してくれんのはありがてえが・・・本当にその2人はなにもしてねえ。」

「「おっさ〜ん!!!」」
二人は仏でも見るように店主を見る。

「俺は、医者だ!そいつをこっちに連れてこい、ベポ!」

「アイアイ!!」

ベポが名無しさんをソファーに運ぶ。

「医者がなおせるならなおしてほしいもんだよ。」

「どういう意味だおっさん?嫌味か?」

「いや・・・」
鋭いローの睨みに店主は一瞬たじろぐ。

ローは濡らしたタオルを名無しさんの額に乗せ、腕や首の汗を軽くふいてやる。

「とりあえず、シャチ、ペンギン、何してたか話せ。」

「「いや、本当に俺たちは・・!!!」」

「ROO・・・」

「「言います、言います!!」」
ローがいつになく必死なのを不思議に思いながらも、ばらされたくない二人はありのままを話した。

名無しさんはシャチとペンギンと話をしていた。
他愛もない普通の話・・・名前、年齢、彼氏はいるのか・・・そんなところだ。
が、シャチが名無しさんの肩に手を乗せた瞬間、彼女はいきなり倒れたのだという。

「シャチ・・・お前なんかしたのか?」

「何言うんだ!?ペンギン!お前もそばにいたけど、何もして二のみてただろ!?」
あわてるシャチ。

「その人は本当にただあの子の肩に手を置いただけだと思うよ。」
ちょっとローにビビってた店主が意を決して話に入る。

「じゃぁ、なんで?」

「あの子はただ・・・シャイなだけなんだ。」
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