鼓動(ロー)

□診察
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「目、覚めたか?」



「………わ、私」




「今は何も言わなくていい」



「うん……」







「じゃ、また後でくる」






そう言ってローは足早に部屋を出た。





コンコンッ

「名無しさん〜」


名無しさんの耳に入ったのは大好きなベポの声。



「どうぞ」



そう言うとベポはおずおずと入ってきた。



「ベポ………」



ベポの優しい表情を見て、名無しさんは涙を流しだした。


「私……なにやってもダメだよね…………迷惑かけてばっかで……」


「名無しさん、泣かないで。迷惑なんかじゃないよ。名無しさんは仲間だもん。」





「そうだな。」




「ロー!」
「キャプテン!」



「ロー、私………ごめんなさいッ」



「お前、いま俺が言ったことが聞こえなかったのか?」





そうだな…………ローはそう言った。





「お前は俺たちの仲間だ、迷惑かどうかなんて気にする必要ねえ。」


「で、でも………」


「でもじゃねえ!」


怒り気味のローに名無しさんは少し物怖じしたがそれでも言うことに決めた。



そう、みんなが好きだから。




「でも、」



いいかけた名無しさんをローが鋭く睨む。

「キャプテン、名無しさんの言いたいこと言わせてあげたら?」




「……」




ローは無言で頷いた。




「私、すぐ苦しくなるからそれがどれだけ辛いかよくわかるの。ロー……ローが、私といると苦しいって言ったから……足手まといにしかならない、戦うこともできない私のためにローが苦しむ必要なんてないの……」







「お前、それ……」

唖然とするロー




「戦えなくても名無しさんは仲間だよ」

空気が読めない白熊。








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