報われない愛。
□3話。
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フリッピーは、それからずっと黙っていた。
でも、なぜかこの沈黙が心地よかった。
「僕は…」
手が震えている。
優しく握ると、フリッピーは苦笑いを浮かべた。
話してくれるんだ。
いろんなこと。
「戦闘神経症なんだ。」
「?」
「血とか、戦争を連想させるものを見ると、もう一人の僕が反応するんだ。」
もう一人の…フリッピー?
フリッピーが二人いるってこと…?
私の手を離そうとしないフリッピー。
「フリッピー?」
「僕は…ナナが好きだ。」
「!!」
「好きすぎて辛いくらいだ。」
抱きしめられた。
きつく強く。
フリッピーの吐息が首筋にかかる。
心臓がその度に跳ね上がる。
フリッピーの胸に顔をうずめる。
「ナナを傷つけたくない。でも、側にいたいんだ。」
「側にいて。」
「……いいの?」
「フリッピーがいなきゃ…嫌。」
「ナナ…!」
初めてのキスをした。
それは、すこし焦げ臭かった。