†本編†

□三話
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*心*

コンビニで雑誌を立ち読みしながら心は外をチラチラと見ていた。

この昼時は弁当が半額になる期間限定のイベントがおこなわれる。来るとしたらこの時間帯のはず。

心は近くの古びたマンションをコンビニから見る。

ガランガラン。

「いらしゃいませ〜。」

帽子を深めに被った男が入って来た。少し歳が若いようには見えなかったが帽子を深めに被るなら可能性はある。

しめた…。

心は男に近づいて行く。

「あの、すいません…ってあっ!?」

心は思わず男に指を指していた。

「カスカベさん!!」
「えっ…!?心君!?」

心は目の前に立っている男、カスカベに動揺を隠せないでいた。心が煙についていくきっかけを作ってくれたのも、壊と煙が会社を作れたのも彼のおかげだからだ。

「あの時あんたに会わなければ俺達どうなってたか…」
「いや、そんな…。全部僕の好奇心だから。」
「けどその好奇心がなきゃ俺は今頃…。」
「違う道に行ってたね。君ならチンピラになってたかも。」

カスカベはにっこりしながら言う。この笑顔にはいつも癒されていた。ずっと。

「カスカベさん今何歳?」
「えっと…もう四十六だね。心君は?」
「二十五。壊と会川は二十六。能井は二十二になったよ。」
「そっか。今度会いたいな〜。」

カスカベはハッと気づいたように心に話し掛ける。

「会川君は?」
「なんでカスカベさんが会川を知ってるんだ!?」
「ほら、あのマンションに僕と彼は一緒に住んでたんだ。」
「!?」

初めて聞いた事に心は頭が痛くなった。じゃ、あそこに会川もいたのか?

「まだ君達と僕が出会った場所はあるよ。今度行ってみたら?じゃ僕はここで。今仕事が忙しくて家にも帰ってなくてさ。コンビニの弁当ばかり食べてるんだ。」

カスカベはそう言って弁当コーナーに向かった。

……あの場所に行ってみよう。

心はコンビニを後にした。



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