書籍

□今日くらい
1ページ/2ページ

「大丈夫か?」

「う"〜大丈夫じゃねぇ…」

今俺は銀時の家に来ている。

理由はこいつが風邪を引いたから。

5分前、眼鏡から銀時が看病してほしいという電話が来たのですっ飛んできた。

「寝込むなんて、てめぇらしくねぇな。」

ふっ、と俺は笑った。

「でも、久しぶりだ〜!看病してくれるなんて嬉しい!」

銀時は俺の肩に頭を乗せた。

はぁ…ったく、こいつは…

まぁ、そんなとこが好きなんだけどな…

「お前が言ってたゼリー、買ってきといたから。」

銀時は口を開けてる。

「…何してんだ?」

「え?食べさせてくんないの?」

「どこまで甘えるつもりだよ…」

もらったスプーンを袋から出そうとすると、銀時は止めた。

「もーわかってないなぁ、大串君は。」

「大串って言うな!つーかスプーン以外何があるんだよ」

「これに決まってんじゃん?」

銀時は俺の唇を押し上げる。

「く、ち、う、つ、し!」

こんなときまでSっ気が混じってやがる…!

「ふざけ…」

言いかける前に冷静になる。

今日ぐらい、いいじゃねえか。

風邪でしんどいだろうし。

「御望みどうりやってやんよ!」

銀時はニヤニヤしながらこっちを見てる。

「な、何だよ…」

「いやぁ〜何か素直だからどうしたのかな〜って」

「っるせぇ!」

口の中にゼリーを含む。

果実の爽やかな味が広がる。

「早く〜」

布団をバンバン叩く。

「ほこり立つだろ…」

俺は銀時の顎をつかみ口にゼリーを入れる。

銀時の唇や舌は風邪で熱っぽかった。

「ん…うめ…」

銀時は再び口を開けてる。

「食べ終わるまでやるつもりか!?」

「当たり前じゃん。望みどうりやってくれるんだろ!」

チッ…あんなこというんじゃなかった…

俺は気持ちを落ち着かせる。

今日ぐらい…今日ぐらい…

「はい、はい、わかった…」

もう一度顎をつかみ口に入れる。

聞こえるのはちゅるちゅるという水音だけ。

容器の中にゼリーが無くなると、銀時は満足したらしく眠りについた。

「土方さん、看病してくれてありがとうございます。」

「あぁ。」

眼鏡が帰ってきた。

「銀サン雨の日に傘もささずにジャンプなんか買いにいくから…」

眼鏡は、ハァと溜め息をついた。

今の言葉に俺は動きが止まった。

「どういうことだ?」

「ただぶりなのに、コンビニに行ったんですよ。銀サン言わく、風邪を引いて土方さんに構ってもらうんだ、って。」

そういや、最近銀時に会ってなかったな。

だからこいつ、あんなに嬉しそうだったのか。

「だったら、言えっつーの…」

俺はきらきら光る銀色の髪を撫でる。

「オイ眼鏡、今日はここにいるからこいつの事は任せろ」

「え、いいんですか?じゃあ、お願いしますね。」

今日ぐらい、居てやらねーとな。



――数日後――

「治ったー!」

銀時は、俺の部屋ではしゃいでいる。

俺はというと…

「てめぇのせいだからな〜…」

…寝込んでいる。

綺麗に銀時の風邪がうつった。

「ゼリー買ってこようか?」

相変わらずなS顔でニヤニヤしてる。

「い、いらねーよ!」

「何だー、つまんねー」

口を尖らせてブーイングをしてる。

「…お前が居てくれるだけでいい…」

俺がぼそっと言うと更に銀時のS心を煽ったのは言うまでもない。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ