笑顔が見たいから。

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 「おはよう、ソウヤ◆」

 『“起こすなまだ寝る。”』

 「駄目だよ◆早くしないと一次試験に遅れる♢」

 『“それって昨日言ってたハンター試験って奴?”』

 「そうだよ♢」

 

 朝、ヒソカに起こされて何事かと思ったが、どうやら試験らしい。
別に俺は受ける必要もないのだが、ヒソカだけ合格させるのも癪だから着いていくことにした。

ついでに俺と同い年の奴も参加すると言っていた。
名前は・・・キル・・・キル何とかだった気がする。



 「ほら、早くしてよ◆」

 『“ヒソカ、俺のパーカー。”』

 「はい◆」

 『“よし、行こう。”』

 

 ヘッドフォンを少し隠すようにフードを被って歩く。
別に何かを聞いているわけではないけど、ヘッドフォンを外すと目で会話できなくなるんだ。

ここらへんは俺にもよく分からない。



 『“ヒソカ、試験で話さなきゃいけない物なんか無いよね。”』

 「さあ◆試験内容は受けるまで分からないんだ♢」

 『・・・面倒だな』

 

 ため息をついて呟くと、ヒソカが面白そうにのどを鳴らした。

 声を出すのなんか戦うときのが多いから何か少し面倒。
でも目で会話するとちょっと疲れるし。


 しばらくしてヒソカが足を止めたのは古そうな定食屋?



 「着いたよ◆」

 『嘘つけ』

 「本当なんだけどなぁ◆」



 てことはこの定食屋に何百人も集まるって言うのか・・・
ちょっと笑えるな。

フードを深く被り直して店に入る。
ヒソカが店の奴に何か言ったが聞いてなかった。


店の奥まで連れて行かれて、なぜか個室へ連れて行かれた。
少し音が聞こえるから何か仕掛けがあるのだろう。







 しばらくするとやはりエレベーターになっていたようで、地下についた。

 どうやら一次試験の場所らしく、既に数十人が到着していた。

 そして顔が豆っぽいやつからプレートをもらい、(45番だった)ヒソカの横について歩いて行った。
そろそろヒソカから離れないと周りから変な目で見られるな・・・。

 フードを外して、ヒソカから離れた石に座る。

するとタイミングを見計らったかのように胡散臭いおっさん(プレートは10番)が話しかけてきた。



 
 「おう、お前ルーキー(新人)だな!オレはトンパ!もう何回も試験受けてるからルーキーならすぐわかるのさ。」

 『“別に聞いてないけど。”』

 「なっ・・・まぁ、ジュースでも飲みなよ。
(こいつ今話してないよな?)」

 『“ふーん。ありがと。”』




 そう言って一口飲む。
あぁ、コレ下剤入りじゃん。なんつーもん入れてんだよ・・・。

 俺はまあ伊達に殺人一家やってるわけじゃないからこんなもの飲んだって別に意味はないけど・・・むかつくんだよな。

 こいつ何時かバトルしたら絶対に半殺しにしてやる。



 『“美味しかったよ。あ、別に心配しなくても俺腹痛くなったりしないから。”』

 「何の話だ?」

 『“俺のコレに下剤入れただろ?わかりやすいんだよ。”』

 「チッ・・・じゃあな。」


 
 そうしてトンパというやつは去っていった。
周りを見ると・・・そろそろ200人は超えるといった感じか。

 それにしてもこの胡散臭くてむさい中で俺と同い年のやつが参加するなんてなー。

 ・・・ちょっとだけ会ってみたいかも。

 ヒソカみたいな変人はごめんだけどね。



 
 『“・・・あいつのせいで寝る気も失せた”』

  「よぉ坊主。テメェみてぇな餓鬼が来るようなとこじゃねーんだよ、ハンター試験はなぁ!!」

 『“・・・お前に言われたくねーよ。”』

 「・・・んだとぉ!やんのかオラァ!!」



 俺の挑発にアホらしく乗ってくる糞チンピラ。
こう言うのは口だけなのが多い。

だからこそムカつくんだけどね。



 
 『“なんなら殺ってあげても良いけどさぁ、まだ死にたくないでしょ?さっさと俺の目の前から消えてくんない?”』

 「なっ・・・チッ・・・覚えてろよ!!」

 


 お決まりのチンピラの捨て台詞を吐いて逃げていく様は何とも滑稽だ。

 ま、ちょっとは暇つぶしになったかな。

 また少し周りを見ると・・・300人から400人くらいか?




 「・・・お前、俺と同じくらいだろ、歳。」




 ふと後ろで声が聞こえて振り返るとスケボーを片手に持った同い年くらいの少年が立っていた。
音がしない歩き方・・・暗歩か。

彼はふわりとした銀色の髪をしていて目はつり目。
一言で言えば猫のような容姿だ。




 『“君の歳を知らないからよく分かんないけどそうらしいね。”』

 「ふーん。ソレ、どうやってんだ?」

 


 どうやら俺の目で会話する所に目を付けたらしい。
どうって言っても別に癖なんだけどな・・・。

もしかするとコイツがヒソカの言ってたキル何とかなのかもしれない。




 『“癖だからわかんない。お前はキル何とかゾルディックか?”』

 「・・・ああ。キルアだけど何で知ってんだよ。」

 『“生活環境的にと家系的に”』

 


 キルアってのはヒソカに聞いてキルアって名前でゾルディックと気づいた。
ゾルディック家って昔っからうちの家と競ってたような実力だもんな〜。

ま、オーラ的に念は覚えてなさそうだし全然俺のが強いんだけどね。



 「家系的に・・・ってことはお前も殺し屋一家?」

 『“あぁ。そういうこと。』

 「名前は?」

 『“ソウヤ。ソウヤ=アローフォン。”』



 悪意を感じなかったから取りあえず普通に名乗っておいた。
向こうに言わせておいてこっちが言わないってのもアレだし。

 キルアは少し驚いた表情をしてから言った。




 「・・・てことはお前、アローフォン家の跡継ぎの癖に脱走したっていうあのソウヤか?」

 『“タイミング見計らって5階から外に飛び降りた。”』

 「お互い苦労人だな(笑)」

 


 二人で子どもらしからぬ会話をしていると奥の方で騒ぎが起こっていた。



 ヒソカまた何かやったな・・・?












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