アーマードコア4 一羽の鴉

□鴉は再び飛び立つ
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鴉は再び飛び立つ
アナトリア研究所のある所の会議室にアレックスとエミールそして、アナトリアの役員たちが集まっていた。
彼らが集まった理由はもちろん、アナトリアの今後の方針を話し合うためである。
「これより、今後のアナトリアの方針についての会議を始めます」
「会議を始める前にエミール教授、そして、アレックスさん、我々はお二人方にお礼を言いたい。あなた方のおかげでGAグループの支援の継続の交渉を成功させてくれてありがとう。我々だけではどうにもできなかった」
イフェネルト夫妻の死後、スパイたちはAMS技術を奪いアナトリアから出て行った。
ただ一つのアナトリア価値であったAMS技術がなくなり、各企業グループは次々と支援を切っていった。
最後に残ったGAグループも支援を断ち切るまでも時間の問題であった。
だが、エミールとアレックスがGAグループに交渉を開始。
アレックスがレイヴン時代にGAグループの依頼を他の企業より優先的に受けていため、アレックスとGAグループとは仲が良く、また、GA社の社長とも仲が良かった。
また、エミールの交渉術が凄まじいものであった。
この二つがあったため、GAグループの支援継続の交渉は恐ろしいほどスムーズに進み、支援の継続に成功した。
「いえ、僕の方からもお礼が言いたい。僕のことを信じてアナトリアに残ってくれたあなた方に」
エミールがアナトリアの新教授になった時エミールの余りの若いため、何人かの役員たちが「こんな若い奴が教授か…アナトリアはもう終わりだな」と言って何人かの役員たちが出て行った。だが、エミールの実力を知っている者たちはエミールを全力で手助けをした。
また、クルトと仲が良かった者たちはクルトが彼を教授にしたには何か理由があるに違いにない。
と思い様子見をしていたが、今回の件で完全に認めた。
「そうじき、この若さで大丈夫かと思いましたが、今回の件認めました。それに、我々もこのアナトリアが好きですから」
「私も同じです。何としでも、このアナトリアを護らないといけない、そうですよね皆さん?」
ある一人の役員そう言い全員が頷く。
「話が変わるが、フィオナさんは?」
一人の役員が彼女性格からこの場にいてもおかしくないフィオナのことを聞く。
「部屋に閉じこもっているよ…」
「無理もないな…いきなり両親を亡くしたんだ」
フィオナは両親を急に亡くしたことで心に深い傷をうけ、部屋に閉じ籠っていた。両親を亡くした直後は食事もしない状態が続いたが、今は食事を食べっている。
しかし、フィオナはいまだに部屋に閉じ籠っている。
「今は、フィオナが立ち直ることを信じよう。こればかりは俺たちにはどうにもならない」
「そうだな…本来に入ろう。エミール教授頼む」
エミールは机の上に置いている資料を手に取り話を始めた。
「それでは、今のアナトリアの状態について言います。知ってのとおりイフェネルト夫妻の死後スパイたちによってAMS技術が奪わられ、アナトリアの価値であったAMS技術がなくなりGAグループ以外の各企業グループが我アナトリアの支援を断ち切りました。GAグループだけ、支援を継続していますが、やはり、一グループだけの支援では限界があります。食糧は溜めていますが、これが切れた場合GAグループの支援だけではギリギリです。そして、一番深刻なのは電力です。現在、アナトリアで稼働している火力発電所は五ヵ所中、二ヵ所のみ。電力の提供率は50%以下です」
GAグループ以外の支援を断ち切られたアナトリアは極めて危険な状態であった。
食糧は溜めていたため1年くらい余裕があるが、それが切れたらGAグループの支援だけではギリギリであった。
そして、一番の深刻な問題は電力であった。
アナトリアの電力は五ヵ所ある火力発電所から作られており、その火力発電所で使う燃料も企業グループの支援で得ていた物であった。
それが、今回の支援断ち切られたため、燃料が不足。
GAグループの支援だけでは五ヵ所中二ヵ所のみ。
その二ヵ所もギリギリの所で稼働している状態である。
そのため電力不足が起き、電力の提供率は全体の50%以下。
アナトリア各地で停電が続いている状態であった。
その影響のせいかアナトリアでは人口流出が起きていた。
「また、電力不足の影響ため人口流出が起きています」
「何処に行くのか…このご時世、どのコロニーも一緒なのに…それに、アナトリアはまだマシなレベルなのに。他のコロニーでは支援がない所もあるのに。複数の企業グループの支援がある所はすでに満席で入れないのに」
アナトリアは一つの企業グループの支援があるだけマシのレベルであった。
大抵のコロニーは企業グループの支援がなく苦しい生活をしていた。
また、地図から無くなるコロニーもあった。
複数の企業グループの支援がるコロニーはすでに人口が許容範囲を超えており、外から来た入居者をすべて断っていった。
「電力不足の対策はどうなっている?」
「太陽光発電、風力発電などの自然発電所を作り電力不足を解消する予定ですが、予算が足りず計画は全体の10%も満たしていません。また、GAグループの支援がいつまで続くかわからません。そのため、速急にAMS技術に変わる新たなアナトリアの価値を作らなれければいけません」
エミールは太陽光発電、風力発電を作り電力不足を解消する計画を立て、それを実行したが、予算が足りずその計画は難航していた。
また、GAグループの支援を継続に成功したが、いずれは支援をやめるだろう。
そのため、アナトリアは速急にAMS技術に変わる新たな価値を作らなければいけない。
「その通りだ。AMS技術に変わるアナトリアの価値を作らなければならん。そして、今日集まった理由はその新しい価値も言うためだろエミール教授?」
エミールはその言葉を聞き、頷く。
「ええ、新しい価値はすでに考えていますそれは―――ネクストによる傭兵活動です」
会議室は驚きの声が上がる。
コロニーがネクストを持ち傭兵活動をする。
それは未だに誰もやっていないことであった。
そもそも、コロニーがネクスト戦力を持つことが異常である。
「確かに、それならすぐにアナトリアの新しい価値になるが。だが、機体やパイロットはどうする?」
「機体の方は亡きクルト教授が万が一に備えて用意していました。パイロットもいます」
「このコロニーにAMS適性を持った人がいたのか!」
「1年前の企業の適性検査の時は誰もいなかったはず…それにいたとしても訓練はしているのか?」
AMS適性を持った人は数少ない。
その確率は1万人に1人である。
そのため、各企業は1年に1回、各コロニーでAMS適正検査し、AMS適性を持った人材を必死になって探している。
1年前のアナトリアで行われた検査では誰一人いなかった。
また、居たとしても、AMSプラグ取り付け手術、AMS調整、戦闘訓練などでして、そして、正式のリンクスになる。
この間に2年は掛かる。
もちろん、今のアナトリアにはそんな時間はなどなかった。
だが、エミールはニヤリとし、アレックスの方を見る。
「パイロットは今我々の目の前にいますよ。かつて、伝説のレイヴンと言われた男が」
エミールの言葉で全員がアレックスの方を見た。
「ああ、俺がパイロットだ。すでにAMSプラグも取り付けているし、AMSの調整も終わっている」
確かに伝説のレイヴンと言われたアレックスならば一番時間が掛かる戦闘訓練が必要ない。
さらに、AMSプラグ取り付けやAMS調整が終わっているためいつでもリンクスになることが可能であった。
しかし、アレックスにある欠点があった。
その事を知っている役員でもありアレックスを見た医者である人は反対した。
「正気かアレックス!君のAMS適性は極めて低いだぞ!それこそ、ネクストを動かせるのがやっとのところだぞ!」
そう、アレックスの欠点はAMS適性が低すぎることであった。
だが、その点は解決していた。
「その点は大丈夫だ。亡きクルト教授が開発した低負荷AMSを使用する」
今は亡きクルト教授が開発した低負荷AMS。
この低負荷AMSは従来の物と比べ負荷が80%とカットされている。
しかし、その代償に一部マニュアル操作であり、ブースタ(QBは除く)の出力調整、狙撃、砲撃、ロックオンなどの誤差修正がマニュアル操作であり、ACノーマル乗り、レイヴン上りでないと扱えるものであるが、伝説のレイヴンと言われるアレックスならばそうなことなど簡単である。
「前から思っていが、よそ者である君がなぜここまでしてくれるのだ…」
GAグループの交渉の時から役員たちはよそ者であるアレックスが何故アナトリアのためにやってくれるのか疑問であった。
「俺はあの時死ぬはずだった…だが、今こうして生きている。ネクストと戦闘し敗北し機体が大破した。その大破した機体から俺を見つけてくれたクルト達のお蔭で。だから、今度は俺が救う番だ」
レイレナード社のネクストオルレアに敗北した時、アレックスは自分の人生は此処までだと思った。
しかし、クルト達が大破した機体からアレックスを見つけて、そして、命を救ってくれた。
だからこそ、アレックスは自分を救ってくれたクルト達に恩を返すために、クルト達が好きなアナトリアを護るために戦場に戻ることにしたのだ。
そして、何よりも。
「それに、あの時クルトから依頼を受けてしまったからな。このアナトリアを護ってくれと。レイヴンとして受けた依頼は必ず成し遂げる。それに、俺もこのアナトリアが好きだしな」
クルトが死ぬ間際はアレックスアナトリアを護ってくれと言う依頼をだし、アレックスはその依頼を報酬なしで受けた。また、クルトがこの依頼を言わなくってもアレックスはアナトリアを護るつもりであった。
彼もこのアナトリアが好きだからである。
「やはり君は変わったレイヴンだな」
「よく言われるよ」
アレックスは苦笑いをした。
「アレックス君戦場に戻るなら何か必要な物があるか?
「できるなら、オペレーターが欲しい所だが、贅沢も言ってられん、一人で…フィオナ!」
急に扉が開き入って来たのは部屋に閉じ籠っているはずのフィオナだった。
そして入って来たなり、フィオナはとんでもないことを言った。
「私がオペレーターをやります!」
フィオナのその言葉で会議室は一瞬静かになり、そして、次の瞬間
「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」」」」」」」」」
驚きの声が上がった。
「何を言っているのかフィオナ!そんなこと君がやらなくてもいいだぞ!」
「そうですよ!フィオナさん!」
もちろん反対の声が上がる。
それでも、フォオナは折れなかった。
「私だってアナトリアを護りたい!私だけが部屋に閉じ籠っていられない!」
フィオナは強い意志を持って言った
こうなったフィオナは誰にも止められない。
一番仕事付き合いが長いエミールはため息をしながらそう思った。
「だがな「わかった、オペレーターはフィオナに任せよう」エミール教授!」
未だに反対する役員たちを無視しエミールはそう言った。
「こうなった、フィオナは誰にも止められない。君たちも薄々気づいているだろう?」
エミールが言ったことが正しかったのか役員たちは静かになる。
「ただし、フィオナ。無理はするなよ、体調を崩れたらすぐにオペレーターの席を外す。分かったな?」
「はい!」
フィオナは元気よく返事をした。
「今日の会議は此処までにする。今後も各自自分の仕事をしてくれ。フィオナはオペレーターについて勉強してくれ。解散!」
フィオナと役員たちは会議室から出ていき、それぞれの仕事に戻っていく。
そして、会議室に残ったのはエミールとアレックスだけが残った。
「フィオナは立ち直ったのはいいが、まさか、こうなるとは…」
「仕方ないさ、エミール。ああなったフィオナ誰にも止められない。君が言った通りだ」
フィオナにオペレーターを許可したエミールであったが本当の所はフィオナにオペレーターなどをやらせたくなかった。
それはアレックスも同じである。オペレーターとは言え戦場に行くのには変わりない。また、フィオナが本当の戦場を見て耐えられるかどうかも心配であった。
「なってしまったものはしょうがない。今はやることをやるだけだ」
エミールはそう言って会議室から出て行こうとしたが扉のところで立ち止まりアレックスの方を向く。
「それと、アレックス。フィオナに告白するだったら手遅れになる前にしろよ」
「なっ!」
エミールはそう言って会議室から出って行った。
「手遅れになる前にか…そうだな」
アレックスはそう言い、自分の機体を見るために会議室を後にした。
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