アーマードコア4 一羽の鴉

□アナトリアの没落
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「やぁ、アレックス!」
後ろから声を掛けられ、後ろを見ると資料を持ったエミールがいた。
「今から何処へ?」
「クルトの研究室だ」
「奇遇だね、僕も今からクルトの研究室に行くんだ」
エミールはアレックスと一緒に廊下を歩き始める。
「ところでアレックス。例の件の調査は終わったのか?」
エミールが言う、例の件とはスパイのことである。
なぜ、エミールがスパイの事を知っているのか。
それは、クルトがアレックスにスパイの調査を頼まれた会話がエミールに盗み聞きされていたからである。
あの時、エミールはシミュレーター室の片づけを済ませ、クルトがフィオナにエミールに渡すように頼んだ資料を取りにクルトの部屋に向かい、フィオナと入れ違いになりクルトの部屋に来たらアレックスとクルトの会話が聞こえ、そのまま盗み聞きをしていたのだ。
その後、エミールはアレックスに盗み聞きをしていたことを言い、協力させてくれと頼んで来た。
無論、アレックスは断った。
だが、その三日後にエミールが独自に調査資料を待ってきて再びアレックスに協力させてくれと頼んできた。
さすがに断る気がなくなり、エミールと協力しながら調査した。
「ああ、その報告を今からクルトにする。ここまで早く出来たのはお前のおかげだ。エミール」
アレックスがエミールとスパイの調査を協力している時、アレックスはエミールの情報収集力驚いた。
エミールの情報収集力は凄まじいものであった。
たった1ヶ月たらずで10人以上の情報をアレックスに渡している。
この時アレックスはエミールに「お前は、どこの国の諜報部だ」思わず言ってしまうほどである。
そのお蔭で、アレックスが思ってた以上に調査が早く終わった。
「それほどでもないさ。そうだ、その調査結果見せてくれないか?」
アレックスはエミールに調査結果の資料を見せるか、見せないか、迷った。
だが、どのみち、後で知ることになるので、エミールに資料を渡す。
エミールは資料を1ページごとに見ていくにつれ、表情が黒くなる。
「アレックス…この結果は本当なのか?」
エミールはショックを受けた。
実はエミールも調査していたが、全体を調査したわけではない。
エミールが調査したのは信用できない研究員のみ、信用している研究員は調査していなかった。
だが、その研究員もアレックスの調査で8割以上がスパイだと判明した。
信用していた研究員が実はスパイだった。
このことを知れば、誰でもショックを受けるに決まっている。
「信じられん…あいつらがスパイなんて…」
「信じようと信じまいと自由だがこれは事実だ。どのみち、クルトに知らせて、対策を取らなければアナトリアが危ない。それに時間もあまりない」
アレックスはここ最近、誰かに見られている気配を感じていた。
おそらく、スパイだろ。
そして、スパイがアレックスを見張っていることはアレックスを警戒している証拠だ。
つまり、アレックスの行動はスパイに気付かれたことになる。
早く対策を立てなければスパイが何をするかわからない状況だ。
「そ、そうだな。ともかく、急いでクルト教授に伝え…!」
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