君に送るは、エンゼル・ランプ
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空気が淀む。
生暖かい、居心地の悪い部屋に息が詰まりそうだ。
「こんにちは、セフィア。」
名を呼んでも少女の虚ろな瞳は宛てもなくさ迷い続けている。
口をだらし無く開けて、少女にしては低い声で唸り続ける彼女は明らかに異常だ。
ちらり、と部屋にかけてある家族写真が目に入った。
そこには幸せそうに笑う目の前の少女と、とびきり美人の母親と優しそうな父親が写っている。
今では残念ながら、見る影もない。
「ジムさん、奥様を連れて部屋を出てください。」
「…やはり…」
「ええ。今から祓います。危険ですので出てください。」
持ってきたブリーフケースを床に置き、蓋を開ける。
父親に連れられ、母親が出て行ったのを確認してからおもむろに得物を取り出す。
キラリと光るのは2丁の銃。
手首に巻いたシルバーの十字架がチャリリ、と音を立てた。
「ダれだ?」
その音に反応したように少女が言葉を発した。
少女の口から出たのは、しわがれた老人のような声だ。
「こんばんは、悪魔。私は君を憎む者だ。さあ、宴を始めよう。」
ハンマーを引き、少女に狙いを定める。
そして。