君に送るは、エンゼル・ランプ
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「あら、神父様?」
呼び鈴を鳴らすと、少しだけ顔色のよくなったアイサ夫人が出迎えてくれた。
先程出ていった自分が再び現れたことに驚いている様子だ。
「彼女がこちらに用があると…」
そう言うと、アイサ夫人は自分から視線を隣の女性に移す。
瞬間。
アイサ夫人の顔が、驚愕と恐怖の色に染まった。
カタカタと体を震わせ、ゆっくりと後退りしている。
大粒の汗を流し、彼女と目を合わせないようにしているようだ。
「お久しぶりですわ。」
昨日や先程まで見ていた笑顔ではない。
言うならば、にやりと怪しく笑う、という感じだ。
そんな似合わない笑みを彼女はした。
くすくすと笑うその笑いもアイサ夫人を馬鹿にしたようなものだ。
「何故…わかった!!!!」
アイサ夫人が急に声を荒げたことに驚いた。
写真や会話をした感じでは決して大声を出すようなタイプではなかった。
それに声が若干低い気がする。
「私には、わかるのよ。」
全く読めない状況にただ困惑するしかできなかった。
雰囲気が変わった2人の女性。
一方は怪しく笑い、もう一方は恐怖に身を縮めている。
2人の関係が読めない。
「すごく嫌な臭いがするわ。あなたそこに何年いるの?」
ジャコン、とよく聞き慣れた鉄の音がする。
隣を見れば、金色に輝く大柄の銃。
グリップに刻まれた何かの紋様が印象的だ。
何をしているのか、とか、何故銃など持っているのか、とか聞きたいことは山ほどあった。
が、その疑問はすぐに消しとんでしまった。