風の便り

□雨に良縁
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金曜、残念な事に今日は雨。


「夜は走れないなぁ…」


電車に揺られながら外を眺めた。

たまには飲むか…
次の駅降りた事無いから降りてみよう!

次の駅につき、駅を出ると適当に街をふらついてみた。

少し遠いけど、喰種が近付いてくる気配を感じ、近くにBARを見つけ入る。

うん。雰囲気良さげだね。

中に入ると、カウンターにいたお姉さんに驚かれた。

あんまり、一見さんは来ないのかな??


「あの、入っても大丈夫ですか?」


そう尋ねると、はっとした様に「どうぞ!」と言われ、お姉さんの前に座った。


「見ない顔ね?越して来たの?」

「いえ、雨なので途中下車してみたんですよー」


ボードのメニューを見つつ答え、お酒を頼む。

待っている間、どの辺りから来たのか、髪は地毛?など色々聞かれたり、
聞いてみたり、楽しく飲んでいるうちにいつの間にかお客さんが2人増えていた。

お姉さんはイトリさんと言うらしい。


「イトリさん、私、イトリさんとこの場所…初めて来たけど…凄く好きになりました……」


あまりにも楽しかったのか、思わずふにゃりとだらしなく笑ってしまった。


……恥ずい。お酒のせいにしよ……。


何か頼もう…目線をイトリさんに向けると、少し照れくさそうにしている…なにこれ可愛い…!!


結局、イトリさんや他のお客さんと談笑し、もう少し居よう。

そう思っていると4時半になってしまった。


「4時半…イトリさん、私そろそろ帰りますね!」

「だいぶ飲んでいたけど大丈夫?」

「はい!大丈夫です!」



……嘘……気持ち悪い……。


全力で我慢をし、店を後にした。

外に出ると、空は明るいが、まだ雨が降っている。


あー、酔い冷めてもバイク乗れない。

そんな事を思いつつ駅へ向かった。



電車に乗っていると揺れの為か、とうとう我慢の限界が近付いてくる。



あと一駅……あと半分……着いた!!


最寄りに着くなり駅のトイレへ駆け込んだ。

暫くしてトイレからヘトヘトになって出ると、足がマシュマロになったみたいに力が上手く入らない。


ヤバい……こんなになるまで飲んだの20歳の成人式以来だわ……


なんとか、ロータリーまでは来たけど、もう、ヤバい…。

そう思った時、力が抜けて前に転けてしまった。

痛い…帰らなきゃ

でも、力が入らない……どうしよう……。


そう思っていると、ふわりとした浮遊感と共に、急に世界が反転する。

混乱していると、BARで知り合った男の人、ウタさんの顔が視界に入った。


あ、そう言えば、最寄り同じだって言ってたっけ?

あれ?先にお店出たよね?


「……ウタさん?」

「正解。先に帰ったよね?ぼく30分位後に出たんだよね?」

「お恥ずかしながら、今更、酔いが回ってきたみたいです……」

「ふぅん…送るよ。近いし。案内して?」


それは流石に申し訳ない。雨も降ってるし!てか、この格好……


「う…ウタ…さん、下ろしてください…。」

「ダメ。立てないでしょ。転んでたんだし」

「…ぁぃ…。」


恥ずかしさのあまり、俯いていると、1回下ろされたが、上着を被せられまた抱き上げられた。

すごく、いい匂い…心臓の音が早くなるのが分かる。

これだからイケメンはずるい……

上着の隙間から時々周りをみて、道を案内した


お姫様抱っことか!!しにそう……。
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