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□繋がり
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「ふぁっ……きっ…キド…?
…あっ………ああっ、か…の……?」
甘美な声。
月明かりに照らされ、また今日も重ねる体。
目の前の少女の目は赤色に染まっている。
「ほら、ユチル
そんな大きい声出すと、だーい好きなキドに聞こえちゃうよ?」
「えっ…あっ、や…やだやだぁ…」
少女…ユチルの目には恐らくキドが写っているのだろう。
ユチルはこの行為をしている時、僕の事を主にキドだと認識する。
時々、僕やシンタロー君、セト達の名前も出るが、実際は誰だか分かっていないようだ。
たとえ目の前の僕をキドだと認識していても、隣の部屋に本物のキドが居る事は分かっている。
なんて美しい矛盾。
「えっ…やぁっ……なんでやめちゃうの…?
キド…、あれ……?せ、セト……?」
勿論、僕が欺いている訳ではない。
「どうして?ユチルさっき嫌って言ったじゃない」
悪戯っぽく笑う僕。
急にもじもじし始めるユチル。
能力が暴走した時のみの体の関係。
…嗚呼……
何とも美しくて何とも汚らわしい繋がり。
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