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□そんな日常
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「キドっ!!!!!キドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドぉぉっ!!!!
やっと来たんだね、私達だけの世界!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!
な、なんだ…ユチルか…」
突如、1つのドアが開き黒い物体、否、ユチルが爆音を発しながら飛びこんで来たため、
俺はシンタローに、と用意していたお茶を床に落としそうになったがそこは危ない所で何とかこらえた。
嗚呼、本当に心臓に悪い。
「え……あ、あの何か凄い音?声?聞こえたけどとりあえずユチルさんで合ってますよね?爆音源」
キッチンの方に、先程の爆音に驚きやってきたシンタロー。
…と、涙目で笑いをこらえてる電子少女。
「あ、何シンタロー来てたのへぇー
………じゃなくてキドっ!!任務、任務!!!!
カノから聞いたけど、キドと私にやっと花が咲いたんだね!素敵!!」
「俺の扱い荒くなってません!?
え、ちょ前回来た時もっと優しかった…」
任務?少なくとも俺はそんな話は聞いてない。
というかまず任務なら団長の俺の所に来るだろうから、まず知らないなんてありえない。
どーせあれだろう、キサラギの時みたいな。

…ほら、ドアの向こうからヤツが微妙な顔つきで見てやがる。
「あのなぁ、ユチルお前もっと人の話最後まで聞いた方がい…」
そこまで言った時だった。
カノが居るドアの隣、即ちマリーの部屋から。
洗面所にいたはずが、いつの間にか自室に移動していたのであろうマリーが
さっきの爆音もとい爆声を聞きつけて、恐る恐るといった様子で、部屋から出てきた。
「あ、マリー!!ねぇ私ね、キドと…」
*
その瞬間、確かに光った。
「………目、赤くなってるユチル…」
マリーが、そう呟いた。
「…見ちゃ駄目だ!!!!!」
カノが、そう叫んだ。
「え、マリーさん?大丈夫ですか、マリーさん!?」
シンタローが、そう訊いた。
「ご主人!?何が起こったんですかご主人!!
ちょ、置いていかないでくださいよ…」
エネが、そう嘆いた。
昔の記憶が光の速さで脳裏をよぎる。
薄れゆく意識の中最後に目に映ったのは、
"あの日"とよく似たユチルの目だった。

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