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□始まりはいつだっけ
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「癒散ちゃんの事、許してあげて?
彼女に悪気は無いわ」
幼い頃、こんな事を言われた。
今なら、ユチルの能力が制限できない事も、
その能力がユチル自身にまで被害を与えている事も、
ユチルの俺への感情も知ってる。
だが、あの日の俺はそれどころではなかった。
ユチルの目が赤く光った瞬間、全てのモノが俺の敵と化した。
俺の目は“惑わされた”のだ。
有機物も無機物も関係なく注がれる蔑んだ視線。
それと共に五感がフルで惑わされた。
あの耐え難い苦しみは、今も心の奥に突き刺さったまま。
意識を失う寸前、最後に目に映ったのは
狂ったユチルの赤い、赤い目だった。
…始まりなんて、思い出したくもない。
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