とある嘘つき達の話
□第3夜
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「ガール、起きてるニャ?起きてたらちょっと来て欲しいニャ」
ベッドに座っていると、ネコゾンビさんの声が聞こえた。
時計が無いので何時かはわからない。
重い腰を上げ、鉄格子の部屋に入る。
私が入ってきたことを確認したネコゾンビさんが話を始める。
「また呼び出してごめんニャ。君はキャサリンを知ってるかニャ?」
キャサリン、女の人の名前だ。
このホテルに来て女性はメーティアさんしか会ったことがない。
黙っているとネコゾンビさんは扉の方を少し見た。
「……キャサリンはこのホテルのナーニャ。採血が大好きで他人を見つけたら採血をしてくる、とても迷惑な女ニャ」
そう言うとネコゾンビさんは自分の腕に残る注射の跡を見せる。
跡の大きさからして、とても大きい注射器なのだろう。
痛そうですね、と言うともう慣れた、とネコゾンビさんは苦笑する。
『そのキャサリンさんがタマシイを持ってるんですか?』
「そうみたいだニャ、……?」
ネコゾンビさんの口が止まる。
その目は扉へと向いていた。
それにつられて扉を見ると、鉄格子の間から桃色が少し見える。
私はそれが気になり、静かに扉を開けた。