とある嘘つき達の話
□第7夜
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私はジェームスくんの設置したバナナの皮で本当に誰かが滑るのか、という事を確かめるためにロビーのソファに座っていた。
ふあーとあくびをするジェームスくんにつられてあくびをすると、誰かが階段を降りてくる音がした。
そちらの方向に目を向けると、降りてきたのはパブリックフォンさん。
パブリックフォンさんはほんのり顔が赤く染まっていて、目の焦点があってなさそうだった。
「ガールお姉ちゃん、よーくみててね」
私にそう言いながらニヤリと笑うジェームスくん。
お目当てのパブリックフォンさんはぼーっと階段を降りてくる。
バナナまであと五段、三段、二段……
一段。
ジェームスくんのカウントダウンが0になると同時にパブリックフォンさんの足がバナナの上に乗せられた。
「っ!?」
本人が気づいた頃にはもう遅く、パブリックフォンさんはずでーんと背中から大きな音を立てて転んだ。
とても痛そうだ。
「ほら!こけたでしょ?」
『本当だったんだ……』
ジェームスくんが笑顔でこちらを向いた。
子供特有の無邪気な笑顔だ。
「……ほら!こけたでしょ?じゃねーよジェームス!」
「あっ!見つかっちゃった!」
パブリックフォンさんがこちらの存在に気付いた。
逃げようガールお姉ちゃん!とジェームスくんは私の腕を引いて走る。
私は走りながら心の中でごめんなさい、とパブリックフォンさんに謝った。