short or another story

□理想の王子様
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初めて興味本意で歩いて通った公園
普段は車のため百合はめったに自分の足で道は通らない

周りは私をお嬢様だとか箱入り娘だとかいうけれど、そんないいものじゃない


友達とは話も合わない
まいう棒なんて食べたことない
マジバも行ったことない
私は…つまらない人間



綺麗な装飾や見てくれは飽きた
もっと
野性的でワイルドで荒々しいものがいい
結婚する人だってそんな人がいい





どこかにいないだろうか…
私の王子様









そんな時だったのだ
物凄いものを目の当たりにしたのは

高い位置にあるゴールにも関わらず意図も簡単に上からボールを叩き込む
トリッキーで荒々しい動き
褐色の肌に、肉食動物かと思うくらいに鋭くそれでいて輝いてる瞳






凄い…凄い…夢にまで見た理想にぴったりの


見つけた
私の王子様















「あぁもう!また負けたっス、青峰っちもう一回!」




「はぁ?やだよ、何回やりゃ気がすむんだよいい加減にしろ黄瀬」



「えぇぇぇ…」



「よくも飽きずにやりますねあの二人も」


「本当なのだよ」




いつも通りのバスケ部
個性的なメンバーが日々練習を重ねて勝利に貢献する中、ずば抜けて才能に恵まれたのが彼
青峰大輝

こんなやり取りは日常茶飯事だが、懲りない黄瀬にさすがの青峰も頬をかく







その時突然
体育館の扉が開いて少女が飛び入ってくる




『青峰様ぁーーー!!!』


!!



誰もが驚きのあまり声を失った
勢いよく抱きついた少女百合は青峰を見ると蔓延の笑みで確かにこう言った





『お久しぶりです!青峰様!いえ、私の王子様!』





シーンという効果音がつきそうなほど沈黙が流れたかと思うと、青峰以外のメンバーは口を押さえて笑いに耐える



「王子様って、え?青峰っちのこと?ぶっ…つかそんなキャラじゃねーっスw」



「えぇ全くですww」




当の本人も何がなんだかわかっておらず開いた口が塞がっていなかったが、部員の反応にはさすがにカチンときたようだ




「おいてめえら何でそんな笑ってんだよ、つか黄瀬死ね」



「何で俺だけ?!」




ひでーっスとわめいてる黄瀬はとりあえず放っておいて、目の前の少女を見やる
少女といっても俺達と同い年くらいか、てか以外とこいつ乳でけーな






「で?何なんだよお前は、お久しぶりでもなんでもねーぞ、初対面だろ俺ら、つかお前帝光の生徒じゃねぇよな、いきなり押し掛けてきてなんなんだよ誰だよ」





疑問点を次々とマシンガンのように投げ掛ける青峰だが、少女はただ頬を染めて目を剃らすだけだった



「なんて一方的なの、男らしいの
これだから好き!」




好きと言われて一瞬怯んだ青峰
なんなんだよ本当に
俺の記憶違い?どこかで会ったのか?





「青峰っちーー彼女っスか?そんな可愛い彼女いるなら俺にも紹介してくれたらよかったのに」



「彼女じゃねぇ」



『次期彼女です!!』



「……」








とりあえず拉致があかないので、なんでこんなことになったのかここにきたのか理由を伺った

なんでも俺がこいつの理想なんだと熱く語られた





「王子様っていったら、黄瀬君みたいな人じゃないんですか?」



そう黒子が問いかけると百合は全力で首を左右にふった
さすがに黄瀬はショックだったらしくしばらく床でいじけていた









『というわけなので、私をあなたの彼女にしてください!お願いします』





堂々と告白をした彼女を見た青峰はやれやれと頭をかいた
いきなり告白されてはいそうですか付き合いましょうというわけにもいかないだろう
確かに顔も可愛い方だし、胸もでけーけど



それとこれとはな…







『バスケ、強いんですね』



「あ?」



『あんなプレイ初めて見ました!惚れ惚れしました!かっこよかったです!』





そうにっこりと微笑む彼女が少し
綺麗だと思ったのはここだけの話
バスケをしている姿を純粋にカッコいいと言われるのは、嬉しかった


ちょっと変なやつだが
案外いいやつなのかもしれない








「よーしわかった」


『え?』




「俺とバスケやって一本でも入れられたら付き合ってやってもいーぜ」




『ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』










こうして始まる恋もあったりなかったり?

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