Last Lovers
□届かない
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ジェ「……パッドフット、苛々するのはわかるけど物に当たるのはよくないと思うよ」
シ「うるせぇ、何かしてないと気が狂いそうなんだよ」
シリウスが羊皮紙をこれでもかというくらいビリビリに破いている傍らでジェームズが苦笑いを浮かべる。
その原因はバレンタインを迎えた今日という日にあった。
シリウス自身もひっきりなしに女子からチョコレートやらなんやらを押し付けられていて鬱憤が溜まっているというのがまず1つ。
2つ目はまさに今向こうで繰り広げられている状況だ。
シャロンは先程から休むまもなく男子からプレゼントを貰っている。
廊下を歩くだけで捕まるものだから隣を歩いているリリーはうんざりしているようだった。
リ「全くもう!最悪だわ
毎度毎度授業に遅れそうになるのよ、ちょっとはあいつら空気を読むべきよね」
リマ「うん…同情するよ、そういうリリーもだいぶ貰ってるよね」
リ「あなたに言われたくないわ」
他の男からのプレゼントなんて捨ててしまってくれ!!と泣き叫ぶジェームズ。相変わらず黒オーラを容赦なく漂わせるシリウス。誰しもがあいつら面倒くさいと思わせる様である。
『リリー!!!』
リ「あぁシャロン、やっと野郎共から解放されて『トイレっっ!!!』へ?」
『これとこれとこれちょっと持ってて漏れちゃう!!!』
リリーに先程貰ったばかりのプレゼントを押し付けるように手渡すと一目散にトイレへと走って行ったシャロン。
やがて光の早さで戻ってきたかと思うと頬を赤くしながらありがとー、とプレゼントを持ち直した。
『いやー、ずっと我慢してたの助かったよ。なかなか抜け出せなくて、と思ったら授業始まっちゃうし…あれシリウス何してるの?え、具合でも悪いの?』
ジェ「違うよシャロン、彼は君がずっとトイレを我慢してたことを知って興奮しt「シレンシオォォ!!!」
粉々に契った羊皮紙を並べた机の上に顔を伏せていたシリウスが今度ばかりは反射的に杖を取り出し呪文を唱えた。運良くジェームズは呪文には当たらず難を逃れた。
リ「……」
シ「誤解だってそんな目で見るなよ…」
リ「まぁあなたがどんな性癖を持っていても構わないけれど、シャロンには手出すんじゃないわよ!」
シ「だっ!出さねぇよっ(多分)、てかそんな性癖断じて俺にはない!!」
リ「はっ、どうかしらね」
リーマスがそんな通常運転の二人を複雑な表情で見ている横で、シャロンとピーターがプレゼントの中に入っていたらしい猫耳とうさ耳のつけたら本物のように耳が動くというなんとも下心丸出しの物で遊んでいた。
この二人がやると犯罪急なのでリーマスは仕方無く小さく溜め息をつくと、やんわり制止にかかる。
が……
『リーマスもつけなよ!えーと…これなんかどうかな』
リマ「やめておくよ」
即答した。けれどシャロンはえーっと不満そうに頬を膨らましてぶつぶつ言っている。
本当にやめて欲しい、獣耳はもちろん遠慮したいし何より狼耳ってところが何ともリアルだったからだ。
シ「ちょっ、ぉま、え?!っ」
ピコピコと揺れるウサギ耳のシャロンを見るやいなやみるみる顔を赤くするシリウス。彼はまずこういう視覚的誘惑から耐性を作るべきだと思う。
『シリウスはこれ!』
シ「え、ちょ」
はいはいとシャロンにシリウスが無理矢理被せられたカチューシャはどうやら
ジェ「犬だね」
ピ「に、似合ってるよシリウス」
リマ「ピーター、それフォローになってないよ」
リ「あら、いつもの4倍はいい男になってるわよあなた」
シ「何でいつも俺ってこうなの…」