Last Lovers

□この想いは本物であると
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薄暗い廊下の影にひっそりと身を潜め目当ての人物を待つ一人の少女。
リリーはスリザリン寮の入り口がこんな陰気臭い場所だったとは今日初めて知って眉間に皺を寄せた。
グリフィンドールとはまさに対極であった。



リ「それにしてもまだかしら…」



ここ数日彼を張って、ほぼ毎晩夕食前のこの時間に図書館に一人でむかっていることがわかった。
きっと現れる筈なのだが


リ「今日は来ないのかしらね、あるいは見落として」


ス「ここで何してる…リリー」



ばっと横を振り向くと見知った顔が呆れ半分驚き半分でこちらを見ていた。
ちょうどよかったと彼の腕を強引に引くとこう耳打ちをした。



リ「談話室に行ってレギュラス・ブラックを呼んできてくれないかしら?」



そう言うとスネイプは若干顔を険しくして彼女にこう返す。



ス「何で君がレギュラスなんかに用があるんだ。」


リ「それは…別に対したことじゃないのよ!ただ確認というか、言ってしまえば身を引いてもらおう…というか、とにかくお願いよスネイプ!」



身を引いてもらう?
どういうことなのか、レギュラスは確かにシャロンのことが好きな筈、
だが今の話を聞くとレギュラスはリリーに言い寄っている風に取れる。
もし後者であるなら…自分だって黙っていないが

真実がどれかわからず混乱状態のスネイプ。
とりあえずリリーのお願いとやらを引き受けることにしたのだった。



談話室へ入ると、彼は案外簡単に見つかった。
ちょうど外へ出る途中であったらしかった。



ス「レギュラス」



レ「…はい?何ですかスネイプ先輩」


話しかけられたことが意外だったらしく目を見開くレギュラス。



ス「外でリリー・エヴァンズがお前を呼んでる。行ってやってくれ」


そう言った途端、レギュラスは僅かに目を細めた。



レ「…わかりました。わざわざありがとうございます。」






レギュラスが薄暗い地下牢へ足を踏み出すと、やっと会えたという風に溜め息をつくリリーの姿があった。
正直自分から彼女と話すつもりは何もないが、呼ばれてしまった手前仕方なくこうして用件を聞く。




レ「初めまして…ですかね、僕に何か用ですか?」



リ「そうね、初めましてね、
単刀直入に聞きたいんだけれど、あなたシャロンのこと好きみたいね?」



ドキリとして彼女を見やる。
どういう経緯でそのことを知ったのかはわからなかったが、周知の事実として捉えた方がよさそうか…
レギュラスは一息置くと、正直に答えることを決めた。



レ「はい、好きですが、それが何か?」



リ「異性として、ちゃんと好きなの?あの子可愛いし男子生徒に人気あるけれど、あなたもただのミーハーな気持ちなんじゃないの?」



ミーハー?
そんなことを言われるとは思っていなかった。
何だか異常に、ムカムカした。
あなたもその程度の想いなんでしょ?と嘲笑われている気がして、レギュラスは思わず否定した。



レ「違いますっ!!僕はちゃんとホワイト先輩のこと全てを見てこう思ったんです。
ただ顔が可愛いからとかそんな理由じゃないです!」



リ「じゃああの子のどこが好きだって言うの?一度や二度話しただけのあなたに、あの子の全てがわかったって言うの?笑わせないで」



レギュラスはぐっと口をつぐんだ。
リリーの様子が、酷く冷めきっていて明らかにレギュラスを嫌悪しているように見えた。



レ「どこが好きかは、上げれば色々あります…」


リ「言ってみて」



レ「、笑顔が可愛いところ、気遣い上手なところ、優しいところ、いつも明るくて元気なところ…」



リ「もういいわ、あの子のこと何も見ていないってことが、わかったから」



レ「っ!」



レギュラスは無意識にリリーを睨んだ。しかしそんなことはお構い無くと言わんばかりに無表情を貫き通しているリリー。



リ「あなたは、マグル生まれや混血を嫌っているそうね?純潔のご子息様?そんなあなたがシャロンを好きですって?気の迷いに決まっているわ」



レ「……僕は、」
リ「私はあの子のことが本当に大好きなのよ、だから幸せになって欲しいの、少なくともレギュラス、あなたにあの子を幸せにすることは出来っこないわ!…話はそれよ、あの子から身を引いてちょうだい」



幸せにすることは出来ない…
そう面と向かって言われて、否定することが出来なかった。
いくらレギュラス自身が頑張ったところで、彼女への想いが溢れたところで、家柄や立場は一切変わることがないのだ。
それにレギュラスには、彼女の全てを知っているのか?と問われたことがどうしても引っ掛かった。

僕の知らない何かを…エヴァンズ先輩は知っている…




レ「あなたの言いたいことはわかりました…、なら、気持ちが本物だと分かってくれるまで、彼女を任せられると思われる人間になるまで、僕は諦めませんから!」



リ「…っ…」



レ「僕だって本気なんです!頭ごなしにそう言われたところで引きませんから!」



そう捨て台詞を残すとレギュラスはくるりとローブを翻して談話室へと消えていった。
シャロン先輩への想いをリリーに伝えたところでどうこうなるわけではないが、少なくとも生温いやつだと思われることは無くなっただろう。



確かにまだ僕は彼女のことを何も知らないかもしれない。
信頼関係を完璧に構築したわけじゃない。
でも…今現在そうだから諦めろと他人にどうこう言われたのでは黙ってない。
こうなったら絶対に彼女に相応しい男になってやる。
彼女の全てを知って全てを受け入れて見せる。


エヴァンズ先輩も、兄さんでさえも…
こいつにならと思われるようになってやるんだ

レギュラスはそう決意を固めた。
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