superjunior(キュミン)

□空も飛べるはず*AFTER
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「お願い!」

キュヒョンは手を合わせてソンミンに必死に頼み込む。
固く目を閉じて、手をすり合わせ拝むように頼むキュヒョンの姿にソンミンは呆れてため息が出た。

「もー。嫌だよ。キュヒョンの友達と会うの」
「お願い!」
「だって、行ってもゲームの話しかしないからつまらないんだもん」

プイと横を向いて頬をふくらませてみてもキュヒョンは頼み続けている。

「ほら・・・あの事件で心配させちゃったからさ。一緒に居るところ見せたいんだよ」
「えー。って、お前俺とのこと話してるの!?」
「いや・・・話してないけど。謹慎があけて仲間と一緒に仲良く来ましたっていう演出を
したいんだよ」
「えー・・・」

なんだか言ってることがめちゃくちゃで、ソンミンは話の内容が信じられなくて眉をひそめてキュヒョンを見る。

「お願い」

何度も頭を下げるキュヒョンに根負けして、ソンミンはしぶしぶと頷く。

「そんなに言うなら良いけど…。友達って誰?」
「それは会ってからのお楽しみってことで」
「えー!そんなんだったら余計行きたくないよ・・・」

せっかく行く気になったのに、その一言でまたテンションが下がる。
キュヒョンの友達に何度か会ったけれども、途中からソンミンをほったらかしてゲームの話や
漫画の話をしだすので、ついて行ってもおもしろくなくて。
けれど、立場上グループのヒョン・・・ということでついて行っているから無下にも出来なくて。

「楽しい人だから、安心して」
「う・・・ん。わかったよ。」
「ありがと」

キュヒョンはにっこりと笑って、ソンミンに軽くキスをした。

「こんなんで誤魔化されないからな!」
「は〜い」

なんて小悪魔みたいな笑顔を見せるキュヒョンに、やれやれと肩をすくめた。
相手もなかなか忙しい人らしく、スケジュールがなかなか合わずぽっかりと時間が空いて、
突然会うから一緒に行ってと頼まれた。
突然の誘いに心の準備が出来なくて、支度もはかどらない。

「どんな人なんだろ・・・。どんな服着ていけば良いのかな」

外見で第一印象が決まると思っているから、初対面の人の情報がないとどんな服を着ていけばいいのかわからない。
約束を取り付けれてウキウキと準備をするキュヒョンに聞いても、

「ヒョンはなんでも似合うから気にしないで」

と、参考にならないことを言い返された。

「そんなこと言ったって・・・」

ぶつぶつ文句を言いながら、ワードローブにある服をとっかえひっかえする。
キュヒョンの好きなワインが置いてあるイタリアンのお店に行くようなので、そんなにラフな
格好も出来ないし、かといってスーツを着ていくのも堅苦しい。

「う〜ん・・・」
「まだ迷ってるの?」
「だって・・・」
「じゃあ、この前買った黒いズボンとさ、白いシャツは?」
「あれか〜・・・」

デザインに惚れて買った黒いズボンを思い出す。

「白いシャツの上にグレーっぽいベスト持ってたでしょ?それにジャケット羽織ったら?」
「ん〜・・・」

キュヒョンに言われて探すと、シャツもベストもジャケットもすぐに見つかった。
それを着て鏡の前に立つとなかなかしっくりきているので、そのままの格好で行くことに決めた。

「これで良い?」
「うん。似合うよ」

キュヒョンに褒められて悪い気はしない。
ソンミンはニッと笑顔を向けて、ドレッサーの前に立ち髪をセットする。
髪をドライヤーで乾かして手にワックスをつけようとしたら、キュヒョンが後ろに立った。

「やったげる」

ワックスを手に取り、ソンミンの髪の毛につけていく。

「自分の準備は良いの?」
「もう出来たよ」
「ほら、良くなった」

ソンミンの髪をセットしてキュヒョンは満足そうに頷く。
自分でやっても大差ないと思ったけども、キュヒョンがあまりにも嬉しそうに笑うので
ソンミンはキュヒョンを褒めた。

「さ。行こう。遅れちゃうよ」
「わかったよ・・・」

キュヒョンに促されて部屋を出た。
心臓がドキドキしている。
キュヒョンの友達に悪い人はいないけれど、いつも会う時は緊張する。
友達の前で恋人のような扱いはしなくって、仲間同士だという態度はとっているが、
ふとした仕草でばれても困る。
キュヒョンは友達だからばれても良いっていうけれど、ソンミンは気が気じゃない。
自分だってばれても良い。
ばれても良いけど・・・。

男同士。

それがいつも気にかかる。
キュヒョンの友達が女の子を連れて来てるのに、自分がキュヒョンの隣に居たりする時も
心苦しいし、ほったかされるのも気分が悪い。
それで女の子と話が盛り上がれば、キュヒョンの機嫌が悪くなる。

どうにでもなれ。

そんな気持ちでソンミンは車に乗り込んだ。
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