superjunior(キュミン)
□メランコリー
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メランコリー
「雨ってさ・・・なんか寂しいよね」
ゲームをしてると、今まで本を読んでいたソンミニヒョンがそう小さく呟く。
呟いた後にため息なんかついちゃったりして。
雨よりも・・・秋だから?なんて思ったけれど、実際外では雨が降ってたし、丁度読んでる本も
少し切なくなるような話しだからそう思うのも無理はない。
俺は、ゲームをする手を休めて、ベットに寝転がって本を読んでたヒョンの傍に座った。
「一緒にいるのに・・・寂しいんですか?」
「そうじゃないんだけど・・・」
起きあがって、俺の隣に座りなおすといつものように肩に頭を預けてくる。
そんなヒョンの肩をそっと抱く。
「何か・・・ありました?」
「雨・・・だから?」
「そうですか」
多分、寂しさに理由なんてない。
こうして一緒にいても、傍に居ても、ふと沸き起こる寂しさは誰でもある。
それを少しでも紛らわせられれば・・・と、俺は肩を抱く。
抱いた肩からヒョンの息使いと温もりが伝わってくる。
「ヒョク・・・」
「え?」
「ヒョクさ・・・今日傘持っていかなかったな」
「傘ですか?」
「うん。出てった時は雨が降ってなかった。遅くまでバラエティの撮影だって言ってた。
もうそろそろ・・・帰ってくるのに」
俺に肩を抱かれながら、違う人の心配をする。
そんなことにももう慣れた。
最初は焼きもちを焼いたりしたけど、この人は本当に純粋に心配してて、それがつい口をついて出てしまうのだ。
でも、ふと思う。
俺だから?って。
良い意味で、安心してるんだって。
信頼してるから、言えるんだって。
「心配ですか?」
「誰かきっと貸してくれるよね?」
「そうですね」
それでもやっぱり、同じメンバーでも他の人の心配はして欲しくない。
俺だけを心配して欲しい。
なんて、言えないけど。
「雨・・・やむと良いな」
「そうですね・・・」
多分、朝まで雨はやまない。
ヒョンのこのメランコリーな気分は雨が止んだらどこかにいってくれるかな?
肩に頭を預けながら、ヒョンはぼんやりと窓の外を眺めていた。
ウニョクヒョンのことを心配してるのかな。
それとも違うことを・・・考えているのかな。
ウニョクヒョンはソンミニヒョンと練習生時代からもずっと一緒で、気心が知れていて、俺なんかよりもずっと付き合いが長くって。
きっと、ウニョクヒョンの方がソンミニヒョンのことわかってるんじゃないかな?って思うこともたくさんあって。
だけども、俺だって負けないぐらい絆があるって思ってる。
「ヒョン・・・」
「ん〜?」
「俺も・・・傘を持たないで外に出てたら・・・同じように心配してくれますか」
ヒョンが驚いたように俺の顔を見た。
そして、呆れたように笑うと、ちゅっとキスをしてくれた。
「バカだな。一番に心配するよ。何?ヒョクのこと心配して焼きもち焼いたの?」
「そうじゃ・・・ないですけど」
「ホント?」
「ホントです」
なんて。
ホントじゃないけど。
傘の一つでこんな焼きもち焼くなんて言えない。
でも、きっとヒョンには伝わってる。
だから、こうして手を握ってくれてるんだ。
「今日はもうゲームするの止めます」
「終わったの?」
「たまに・・・一緒に寝ますか?」
「嬉しいな」
俺は、ゲームからログアウトしてパジャマに着替えて、ヒョンが待つベットに滑り込んだ。
ヒョンとこうして同じベットに寝るのも久しぶりだ。
いつも俺がゲームをしててなかなか一緒に眠れなくて。
布団の中で探り当てた手をぎゅっと掴む。
ヒョンもぎゅっと握り返してくれる。
ヒョンの熱と俺の熱で布団の中が一気に温まる。
「あったかいね」
「そうですね」
「ね。唄・・・うたって?」
「良いですよ、何が良いですか?」
うとうとしだすとこうして子守唄を歌って欲しいとねだるヒョンに、思いつくまま口ずさむ。
だいたいが俺の好きなバラードなんだけど。
気がつくとヒョンは寝息を立てていて。
そのままそっとベットを抜け出して、またゲームをしようかと思ったけど、やめた。
今日はメランコリックな彼の傍に居てあげよう。
朝になったら、そんな気持ちが居なくなっていると良いな。
きっと、明日は雨が上がってる。
ヒョンの気持ちもきっと晴れる。
だから、それまではずっと傍にいてあげますね。
メランコリーな気持ちが笑顔になるように。
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