superjunior(キュミン)

□あなたにサラダ
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「俺は、サラダを作る」

台所に立つとイェソンはそう宣言し、買ってきた食材を台の上に置いた。

「だ・・・大丈夫ですか・・・?」

全て食材を切り終わり炒める段階になっているソンミンは、急に現れたイェソンに驚きながらも
場所をよけた。

サラダ・・・ってなんのサラダだろう・・・。

キムチチャーハンに合うサラダをソンミンは思い描いていると、イェソンはバリバリと
レタスをむき出した。

「春雨サラダだ」
「春雨・・・ですか」
「そうだ。」

ビニール袋からごっそりと春雨の束が出てくる。
ソンミンは、春雨を湯がくために大きな鍋を用意し、さりげなく鍋にお湯を沸かしておく。
イェソンは黙々とレタスを一枚ずつはがし、きゅうりに手を伸ばす。

「に・・・兄さん。切りましょうか?」

きゅうりと包丁を握りしめて強張っているイェソンに声をかけると、静かに首を振った。

「きゅうりぐらい切れる」
「わ・・わかりました・・・」

そうは言うものの。
イェソンが心配で仕方がない。
下手に手を出すわけにもいかず、ソンミンはハラハラしながら切った材料を炒め始めた。

良い香りが充満し始めた。
食材を炒め、さぁご飯を入れようか・・・と。
ふとイェソンを見ると、イェソンは未だにきゅうりを持っていた。

「に・・・兄さん。大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」

大きく息を吐き出して、イェソンはきゅうりを切り始めた。
一つ一つ確実にきゅうりを切っていく。
慣れない手つきのイェソンはきゅうりに翻弄されている。

手が・・・切れそう!!!!

と、隣で見守るソンミンはハラハラドキドキが収まらない。
自分のキムチチャーハンもご飯はまだかと待っている。

誰か・・・助けて!!!

と叫び出したいぐらいだ。

「おい、ソンミン。ご飯はどうした」

きゅうりを切りながらイェソンが声をかけてくる。

兄さん・・・俺の心配より自分の心配をしてください!!

と、よそ見するイェソンに言いたかったが、そんなこと言えるはずもなく。

「すみません・・・今いれます」

素直に謝ってご飯を鍋に投入した。
それから一気にチャーハンを仕上げをして、ソンミンは皿に盛った。

その間も、イェソンはきゅうりを切り続けていた。
4人分の春雨サラダのきゅうりはかなり切りごたえがあって、切っても切っても
まだきゅうりが残っている。
春雨のお湯も湧き出した。
ソンミンは、どこまで手伝って良いのかわからずに、ぐらぐら湧いているお湯を前に
途方に暮れてしまった。

**

「出来た・・・!!!」

感無量とはこのことだとソンミンは天を仰いだ。
自分のキムチチャーハンはとっくに出来ていたが、イェソンの春雨サラダが完成した。
手を出すな・・・というイェソンの無言の圧力により、ただ見守るだけだったが、
心配で心配で仕方がない。
切って盛るだけの春雨サラダ・・・。
人生でこんなにハラハラしたのは初めてだ。
寿命が縮まるとはこのことだ・・・と、ソンミンは身を持って味わった。

「よし。後はリョウクが帰ってくるのを待つ」

イェソンも自分の作った春雨サラダに大満足の出来だったようで、不敵に笑っている。
決して盛大に喜ばないのがイェソンらしいが、心の中では大はしゃぎだろう。

「きっとリョウクも喜びますよ」

と、ソンミンが言うとイェソンは静かに頷いた。
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