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□夜蝶に捕らわれて
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退屈な前説が終わり、

「えー、では、これより理事長からのご挨拶をいただきたいと思います」

その瞬間


“““きゃああぁぁぁ!!!!!理事長ーーー!!///”””

““素敵ぃ〜〜〜///抱いてくださーーーい!!!/////////””


「「!!?」」
鼓膜が破れてしまうんじゃないかと思うぐらいの歓声に、俺と琴音はビクッと肩が揺れた。
ここって男子校だよな?
なんだ?この女みたいな悲鳴じみた歓声は・・・

てか、抱いてって・・・息子ながら恥ずかしいんですけどぉ!?///
そりゃあ、ああやってキリッと真面目に仕事してりゃ、そこいらのモデルなんて目じゃないくらいに恰好良いけど…
で、でも・・・君たち男でしょーーー!?
どこからそんな声出てんのぉぉ!!?

「蒼樹……
何か的外れなこと考えてない?」
「…前々から思ってたんだけど、琴音ってエスパー?」
いっつも俺の考えてることを言い当てる。
そうだ!琴音には超能力が・・・
「馬鹿蒼樹。全部顔に出てるから…」
すんごくうっとおしそうな顔をされた。
きっとこの割れんばかりの歓声と俺の馬鹿な発言が原因。
うん、多少馬鹿なのは自覚してるよ。
「え、琴音ってばそんなに俺の顔見つめてんの?」
「……もう黙れ」
「ハイ」
俺の返答に琴音の眉が吊り上がったので大人しく黙ることにした。
だってまだ青春を謳歌したいし…

軽くため息をつき壇上に視線を戻した。
壇上の上では親父が中央のマイクのところで止まり一礼をしていた。
そして、マイクのスイッチを入れた瞬間。



―― シーーーン。

一瞬にして煩かった歓声が無くなり、皆が貝のように口を閉じた。
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