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□夜蝶に捕らわれて
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* * *
白石先輩たちは、親衛隊とは何たるかを休み時間中延々と語り予鈴とともに帰って行った。
「嵐みたいな人たちだな、先輩たちって…」
「はぁ・・疲れる」
琴音はゲッソリした様に呟く。
「まぁまぁ・・・悪気はないんだろうし」
何か必死に話す姿を見ていたら憎めない。
「全く…蒼樹は甘いんだから」
「ごめんな?」
「慣れてる」
琴音とそんな話をしてたら、急に教室が騒がしくなった。
「篠原はいるか?」
原因は神宮先輩だった。
「神宮先輩?」
もうすぐ授業が始まると言うのに、どうしたのだろう?
そう思い、先輩の方を見た。
「!?」
そしたら、先輩はすごく驚いた顔をしていて・・・
「先輩?どうかしたんですか?」
まるで時間が止まってしまったかのように、俺を見て固まっていた先輩に声を掛け近づいた。
「っ!お前…篠、原か?」
先輩は酷く困惑しているようだった。
あぁ、そうか。
昨日は先輩いなかったんだったっけ?
「あ、はい。
騙そうとか思ってたわけではないんですけど、これが」
「蒼樹?!!」
「「!!?」」
話の途中で急に先輩が俺の腕を掴み走り出した。
あまりに急なことで俺は何が何だか分からず、先輩に連れられるままとなった。