Novels No1

□SPECIAL THANKS
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今、宿の一室で静かに眠っている悟浄をベッドの脇に椅子を置き、三蔵は腰掛けて見つめている。
二日前。
この町に向かう途中、三蔵一行の目の前に紅がい児の刺客が現れた。ほんの一瞬の出来事だった。三蔵のスキをついて刺客が攻撃してきた所を悟浄が庇い腹を刺されたのだ。大量の血が飛び散り、力無く倒れる悟浄に
「悟浄!!」
八戒が駆け寄り直ぐに気功術て傷口を塞いでいく。それでも大量の出血をしている為、かなり危険な状態だった。刺客は悟空の手により片付けられたが、三蔵は頭が真っ白になって呆然と立ち尽くすしていた。
「三蔵しっかりして下さい!急いで町に向かいましょう。傷口は塞ぎましたが出血が多くて、このままでは悟浄が!」
言いながら八戒は悟浄をジープに乗せる。それでも三蔵は動く事が出来なかった。
「三蔵!早く!」
悟空の声て我に返りジープに乗った。


やっとの思いで町に着き医者に診てもらった。
「悟浄…大丈夫だよな?このまま目覚めないなんて無いよな…?」
心配そうに悟空は八戒を見上げる。
「大丈夫ですよ。お医者様も数日休めば大丈夫だと言ってましたから。それに悟浄は殺したって死にませんよ。」
とニッコリ微笑み悟空の頭を撫でた。
「そうだよな。俺じゃあもう寝るな。」
ニッと笑い部屋を出て行った。
「三蔵も今日は休んで下さい。僕が看てますから。」
と八戒は優しく三蔵の肩に手を置いた。その手を三蔵は握り
「本当の事を言え。」
振り向きもせず問う。
「大丈夫ですよ。」
と答えがその言葉に三蔵は振り向き八戒を睨み付けた。
「俺は本当の事を教えろと言ったんだ。そんな気休めはいい。」
そんな三蔵を見つめたまま八戒は
「このまま…目を覚まさないかもしれないと言われました。手は尽くしたそうですが、後は本人の体力次第だそうです。」
その言葉を聞き三蔵は八戒の手を離した。
「でも可能性が無いわけでは無いですよ。大丈夫です。だから今日は休んで下さい。貴方まで体力保ちませんよ。」
その言葉に三蔵は背を向け椅子に腰掛けた。
「大丈夫だ。傍に居たいんだ…悪いな。」
「分かりました…。じゃあ僕は休みますね。何かあったら何時でも呼んで下さい。お休みなさい。」
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