Novels No1

□RHAPSODY〜5〜
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三蔵は宿の外へ出た。とても綺麗な月夜だ。近くのベンチに腰掛け煙草を吸いながら、ぼんやりと月を見上げた。
(俺の…気持ちは…。)
三蔵は今までの事を思い出してみた…。
何時も何だかんだ言いながら、あいつは側に居て何時も俺を助けてくれた。雨の日も眠れない俺に気を使ってずっと側に居て思い出させない様に、嫌味ばかりだが相手をしてくれた。何でもっと早く気付かなかったんだ?そうしたらあいつを不安にさせる事は無かったのに…。
三蔵は煙草をもみ消すと、立ち上がって部屋に向かった。悟浄の部屋の前で足を止めると意を決した様にノックをした。
「どーぞ。」
返事が返ってくる。三蔵は部屋に入って行った。
「何?」
悟浄は思いもよらない訪問者に少し戸惑いながら問いかけた。
「ちょっと話があってな…。」
三蔵は言いながら椅子に腰掛けた。暫しの沈黙。
(何をどう伝えたらいいんだ…。)
三蔵はなかなか自分の気持ちを言葉に出来ずにいた。そんな思い悩んだ三蔵に気付いたのか悟浄は
「結論…出たんだろ?俺は大丈夫だから…どんな結論でも三蔵が出した答えが聞きたい。」
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