小説部屋
□闘うお姫様
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この日も、フェイト達はいつものように宿を取り、いつものような朝をそれぞれが迎えていた。
まず一番最初にロビーに現れたのは、ネル。
「さて、今日はまず買い出しをしないとね…
ん?」
いつもなら、一番最初にロビーに着くネルの目には誰もいない空間が写るのだが…この日はネルより先にソフィアがロビーにいた。
彼女はソファーに腰掛け、何かの本を熱心に読んでいる。
やがてソフィアはネルに気が付き、本を閉じて立ち上がった。
「おはようございます、ネルさん」
「あぁ、おはよう…
珍しいね、ソフィアが一番乗りなんて」
ネルはそう言ってソフィアに柔らかく微笑んだ。
いつもならソフィアは身支度に時間がかかってしまい、全ての準備を終えてロビーに来るのは大抵一番最後になってしまうのだ。
「あの、今日はちょっと早起きしたんです。
この本を読みたかったものですから」
「?その本は…施術の論理書じゃないか」
「あ、はい。一目見ただけで何の本か分かるなんて流石ですね。
えっと…ネルさん達の世界の施術と、私達の世界にある紋章術という技術はよく似てるみたいなんです。
だから、ひょっとしたら私にも理解できるかなって…」
でもやっぱり難しいんですけどね、とソフィアは苦笑いをしながら付け足した。