小説部屋
□闘うお姫様
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ソフィアは高校で紋章学を習ってはいたが、時空学科に所属していた為に大学で紋章学科に所属しているフェイトほど専門的な知識はない。
紋章術を使って戦う彼女は、その紋章術のことをもっと理解しなくてはいけないという思いから施術の専門書をめくっていた。
少なくともフェイトより紋章術を理解しないと、彼より強くなることは出来ないのだから。
「いや、私達施術士でもその本を完全に理解する事は難しいさ。
けど…早起きしてまで勉強するその熱意があれば、きっとソフィアも理解できるようになると思うよ」
「あ、ありがとうございます。ネルさんにそう言って頂けると、何だかもっと頑張れそうな気がします」
えへへ、とはにかんだ笑顔を見せたその直後、ソフィアはどこか思い詰めた表情で俯いて。
そして、胸に秘めた思いを静かに語り始めた。
「ネルさん…私、強くなりたいんです。
私はいつも足手まといで、フェイトに守られてばかり…
だから…せめてフェイトが私を守って傷つくことがない様に、強くなりたいんです…」
「ソフィア…」
この少女がフェイトに恋心を抱いていることは、ネルも知っていた。
そしてフェイトが彼女を必死で守っていることも。
だからこそ、彼女は強くならなくてはいけないという焦燥感に駆られているのだろう。
父を亡くしたばかりの頃の自分を見ているようだ、とネルは心の中で苦笑した。