小説部屋
□スキとキライの境界線で
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女としての幸せは捨てた。女王の片腕となることを決めた時から。
けれど―――。
シーハート27世から直々に休暇を貰ったネル・ゼルファーは、久し振りにシランド城内の自分の部屋に戻った。
長い間留守にしていたとはいえ、誰かがしっかりと掃除をしてくれたおかげで部屋には塵一つも落ちていない。
その様子は、自分の部屋なのにどこか違和感がある。
まるで自分の部屋じゃないみたいだね、とネルは口の中で小さく呟いた。
自分の今までの生活を省みれば、当然のことではあるが。
フェイトをはじめとした仲間達との冒険の日々―――アーリグリフとの戦争、「星の船」(フェイト達は「バンデーン」と呼んでいた)の襲来、エクスキューショナーの出現、FD空間への突入、そして、ルシファーとの対決―――。
休む暇も無い、闘いの連続だった。
正直、未開惑星の人間のネルにとって、自分達がFD人達に作られたプログラム(そもそもエリクールに「プログラム」という言葉自体が存在していなかった)だとか、そういった話はあまり理解できない。